2021 Fiscal Year Annual Research Report
化学処理ー樹脂含浸圧密複合処理による木管楽器材料の開発
Project/Area Number |
19K06165
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小幡谷 英一 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (10312810)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 木管楽器 / グラナディラ / 木質材料 / フェノール樹脂 / 寸法安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
クラリネットやオーボエなど木管楽器の管体に使われるグラナディラは、CITESで絶滅危惧種に指定されている希少材であり、既に国際取引が制限されている。質の高い木管楽器を持続的に生産するためには、グラナディラに代わる管体材の探索、開発が不可欠である。本研究の目的は、安価で資源量が豊富な国産木材を使って、グラナディラに代わる管体材を開発することである。そこで注目したのが、単板に樹脂を含浸し、積層、圧密して作る樹脂含浸圧密積層材(CLVL)である。CLVLは、数十年前に発明された歴史のある素材であり、電気絶縁材や内装材、食器材として既に幅広く用いられている。ただ、既存のCLVLでは、管楽器の管体材に求められる高い寸法安定性が得られない。そこで本研究では、CLVLの寸法安定性を左右する様々な因子を明らかにした上で、管体用CLVLの製造に適した原料や樹脂の種類などを明らかにした。これにより、管体用グラナディラ材に匹敵する高い寸法安定性と気密性を備えたCLVLの製造が可能となった。 最終年度は、前年度までに開発したCLVLの寸法安定性をさらに高めるための二段含浸および混液含浸の効果について検討した。さらに、開発したCLVLを工業的に生産するための取り組みを行い、工場で試作されたCLVLを用いていくつかの木管楽器を製作した。CLVL製の楽器は音量、音色とも従来のグラナディラ製楽器と遜色ないことが確認された。
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