2021 Fiscal Year Research-status Report
顕微鏡技術の組み合わせによる魚類の青色素胞を構成する青色色素成分の同定への試み
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19K06228
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
武井 史郎 中部大学, 応用生物学部, 講師 (60398576)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 魚類 / 青色素胞 / 質量顕微鏡法 / 電子顕微鏡法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、いまだ未知である魚類における青色素胞を構成する色素物質の同定である。青色素胞はネズッポ科魚類の2種においてのみ報告されている、ごく限られた魚類においてのみ見られる色素胞であるが、その色素を構成する物質は未知である。その理由として、これらの魚が小型であるために青色色素物質を十分に抽出、精製できない為であると思われる。多くの魚類が虹色素胞による構造色で青色を表現している中、なぜネズッポ科魚類の2種だけが青色素胞を用いるのか、この点が不明である。もし青色色素の物質が解明できれば、この学術的問いへの回答に大きな前進が期待できる。 本年度は特に、青色素胞を持つ既知2魚種以外での解析を中心に行った。候補として用いた魚種は主にニシキベラ等のベラ科魚類、レモンブダイ等のブダイ科魚類である。質量顕微鏡法を主に用いた比較解析の結果、両種ともに候補分子と思われる分子が検出できた。また、ブダイ科魚類では、この候補分子と同じ分子が既知文献でも報告されており、本発見が妥当であると思われた。。 現在はさらなる候補魚種の選定と解析を順次行っている。例えば、ニシキテグリと同じネズッポ科魚類のほか、テングカワハギ等のカワハギ科魚類、ホウボウなどのホウボウ科魚類である。これらの魚種についても、標本の入手およびそれぞれの詳細な分析および電子顕微鏡法などの他の方法との組み合わせによる比較解析を順次、行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍に際して、標本の入手や分析機器の使用等が順調でなくなった時もあったほか、学内業務への対応が増えたため、思うように研究を遂行できなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き質量顕微鏡法および電子顕微鏡等を用いた解析を、他魚種との比較を中心に行っていく。異なる魚種間での比較から、それぞれの機能的意義を推察し、学術論文を執筆していく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍に際して、研究を延長する必要が生じた。質の高い学術結果を得て、論文発表を行うため、次年度も継続する。
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