2019 Fiscal Year Research-status Report
Molecular biological study on the virulence property of Campylobacter based on the infection biology
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19K06432
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
朝倉 宏 国立医薬品食品衛生研究所, 食品衛生管理部, 部長 (40370936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 寛海 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (00332445)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カンピロバクター / 腸内細菌叢 / 菌叢解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、食品媒介性感染症として世界中で猛威を振るうカンピロバクターが、ヒト宿主への感染過程にて顕す遺伝子発現並びに腸内細菌叢とのクロストークを、患者由来検体を研究対象としてプロファイル化し、原因菌株のゲノム特性と融合させることで、本菌感染時のヒト病態発現の分子基盤に係る基礎知見の集積を図ることを目的として本年度より開始した。 2019年度は複数のカンピロバクター食中毒事例由来の臨床検体(N=30)における構成菌叢を把握するため16S rRNA部分配列を標的とするNGS解析を実施した。結果として、12検体では低温細菌に属するPsychrobacter spp.や、Vagococcus spp.等が優勢菌属として検出されたほか、Blautia spp.、Bifidobacterium spp.等は優勢菌属としてほぼ共通に認められた。また、健常者の腸内細菌叢に関わる既報との照合を行うことで、健常者の腸内環境では優勢菌叢として認められるBacteroides spp.が1%以上の占有率を示した検体は僅か6検体に留まっていた。主成分分析を通じ、対象検体の菌叢は二分され、上記に示した菌属の関与が確認された。 その後、計12代表検体よりRNAを抽出し、RNAseq解析を実施すると共に、当該検体より分離されたカンピロバクター株のDraft genome配列を決定した。結果として、in vitro下で優勢に発現する遺伝子群の多くが検体中からも検出されたが、数十の遺伝子群については検体特異的な挙動を示した。 今後、検体数を増やすことで、健常者間、或いは患者間での構成菌叢の明確化と当該検体中においてカンピロバクターが示す遺伝子発現挙動の網羅的把握が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って検討を進めることができていることから、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的を達成する上で、RNAseq解析をより精緻に進めるためには、検体保存方法の改良や保存状況の確認方法等について試行・検討する必要性が考えられる。本内容については次年度の検討事項とする予定である。
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Causes of Carryover |
研究分担者の計画では、昨年度後期に検体の調整・発送を予定していたが、本年初頭からのCOVID-19流行に伴い、関連業務が発生したため、発送を年度明けに延期することとした。なお、令和2年5月に検体の調整・発送を当該予算を用いて対応した。
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Research Products
(12 results)