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2020 Fiscal Year Research-status Report

マクロファージの機能が展開する脱分化の分子基盤解明と関連microRNAの同定

Research Project

Project/Area Number 19K06691
Research InstitutionThe University of Tokushima

Principal Investigator

石丸 善康  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 助教 (50435525)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywordsコオロギ / マクロファージ / 再生 / CRISPR/Cas / RNAi
Outline of Annual Research Achievements

コオロギ脚再生の初期過程における再生芽形成にマクロファージの機能が深く関わることを明らかにした。マクロファージの枯渇条件下では再生しないコオロギの脚と正常再生脚を対象にトランスクリプトーム解析を行い、発現変動する遺伝子群を同定した。さらに、RNAiスクリーニングによる再生に関連する候補遺伝子の探索を行い、NotchとSp9遺伝子が再生芽の形成に関与することを見出した。再生脚においてNotchとSp9の経時的な発現解析を行った結果、脚切断後12時間(12hpa)から発現上昇が確認され、再生芽形成に必須であるSTATも同様に12hpaで発現上昇することを明らかにした。さらに、組織切片を作製して、再生脚の組織構造を詳細に観察した結果、12hpaで筋肉前駆細胞とプラズマ細胞(マクロファージ様細胞)の細胞集団が切断面に移動し、切断した脚の先端組織を塞ぐよう、上皮様細胞が増殖する様子が24hpaで観察された。48hpaになると上皮の細胞層が完全に形成され、上皮様細胞の形態は球状から繊維状に変化した。一方、Notch RNAiでは、12hpaで確認される筋肉前駆細胞の細胞数が著しく減少しており、24hpaで増殖する上皮様細胞は確認できるが、48hpaで生じる細胞の形状変化は確認されなかった。また、Sp9 RNAiでも同様に、筋肉前駆細胞が減少しており、24hpaでは上皮様細胞の増殖が確認されないが、48hpaで上皮層は形成され、細胞の形状変化は阻害された。NotchとSp9はSTATと共に12hpaから再生芽の形成に関わる重要な因子である可能性を示している。
引き続きトランスクリプトーム解析から得られた再生関連の候補遺伝子に対して、同様のRNAiスクリーニングを遂行中であり、再生に影響を示す遺伝子を幾つか特定できている。今後は再生芽の時空間的な形成を制御する分子メカニズムの解明を目指す。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

マクロファージが機能する再生芽形成に、NotchとSp9が関与することを明らかにした。NotchのRNAiでは、切断面の上皮層は再構築されるが、上皮様細胞の形状変化に影響を及ぼした。EdU取込アッセイにより、細胞増殖には影響していないことから、Notchは上皮の分化制御に関わる可能性を示した。一方、Notch RNAiでcyclinEの発現が減少しており、筋肉前駆細胞の増殖にNotchが関わる可能性を示すことができた。また、Sp9についても同様の解析を行なっている。
本年度の計画では、新たに同定された再生関連遺伝子NotchとSp9についてCRISPR/Casゲノム編集によるノックアウトコオロギを作製し、より詳細な機能解析と野生型との発現比較解析を目指していたが、まだ系統作製に至っていないため、当初の予定よりやや遅れているといえる。

Strategy for Future Research Activity

令和3年度は、引き続き網羅的RNAiスクリーニング解析による再生関連の候補遺伝子の探索を行う。また、RNAi解析で明らかとなった再生関連遺伝子のCRISPR/Casノックアウトコオロギを作製し、再生芽形成に与える影響を詳細に解析する。さらに、ノックアウトと野生型の2群間でトランスクリプトーム解析を行い、その遺伝子によって制御される下流標的遺伝子を探索し、再生芽形成に働く分子メカニズムを明らかにする。
再生芽を形成して正常に再生するには、おそらく上皮層の形成と上皮様細胞の分化が鍵となるため、NotchとSp9がその決定メカニズムにどのように関わるのか、作製段階のノックアウト系統を用いて調べる予定である。また、NotchとSp9の発現細胞を特定することで、上皮と筋肉前駆細胞の細胞間における相互作用の有無や分子メカニズムを明らかにし、再生芽の形成メカニズムのさらなる解明を目指す。

Causes of Carryover

(理由) マクロファージ枯渇条件下で発現変動する遺伝子の大規模なRNAiスクリーニングを優先して遂行しており、当時予定していたCRISPR/Casゲノム編集による再生関連遺伝子のノックアウトコオロギ作製が遅れている。令和2年度の研究費に未使用額が生じたが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費を含めて今年度行う予定の研究計画と併せて実施していく。

(使用計画) 使用計画は以下のとおりである。
RNAiによりスクリーニングされた再生関連遺伝子のCRISPR/Casノックアウトコオロギを作製して詳細な機能解析を行う予定である。また、ノックアウトコオロギを用いて、上皮様細胞の分化および上皮と筋肉前駆細胞の細胞間における相互作用に関わる分子メカニズムを解析する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2020

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] Gene knock-out analysis of a metamorphosis factor Myoglianin in the cricket Gryllus bimaculatus2020

    • Author(s)
      Aya Higashihara, Yoshiyasu Ishimaru, Saki Matsumura, Kohei Kawamoto, Sayuri Tomonari, Sumihare Noji and Taro Mito
    • Organizer
      The 43rd Annual Meeting of the Molecular Biology Society of Japan
  • [Presentation] フタホシコオロギの翅形成に関わる遺伝子の発現と機能解析2020

    • Author(s)
      山下 貴久, 大出 高弘, 友成 さゆり, 中村 雄軌, 石丸 善康, 渡邉 崇人, 三戸 太郎
    • Organizer
      第91回日本動物学会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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