2021 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における糖尿病治療薬配合剤の服薬アドヒアランスへの影響とその効果
Project/Area Number |
19K07238
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
今任 拓也 福岡大学, 薬学部, 講師 (20368989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場園 明 九州大学, 医学研究院, 教授 (90228685)
中島 直樹 九州大学, 大学病院, 教授 (60325529)
西 巧 福岡県保健環境研究所, その他部局等, 主任技師 (20760739)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薬剤疫学 / 高齢者糖尿病 / レセプトデータ / 糖尿病治療薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
配合剤は1錠で、二種類以上の薬剤を服用することが可能となる。特にポリファーマシーが問題となる高齢者において、服用薬数の減少は服薬アドヒアランスにも影響し、服薬アドヒアランスが良好であれば、その後の糖尿病大血管障害の予防に寄与する事が考えられる。そのため、配合剤は二種類の単剤を併用するより薬剤費が安価となることに加え、その予後にも影響を与えるならば、医療費の削減にも大きく貢献することが期待される。一方で、配合剤は処方量の調節が困難であるため、高齢者では低血糖を引き起こす可能性が考えられる。 そこで、本研究は、福岡県下の後期高齢者広域連合の75歳以上の被保険者の2015年4月から2020年3月までの医科、調剤およびDPCレセプトデータを用い、糖尿病治療薬を処方されている者のうち、最も処方量が多かったエクメットが処方されている者およびその単剤(メトホルミンおよびビルダグリプチン)を併用していた者を対象とした前向きコホート研究を実施した。 まず、服薬アドヒアランスについて、配合剤群は単剤併用群に比べて、服薬アドヒアランスの指標であるPDCは高くなっていた。服薬アドヒアランスが不良である者(PDC<80%)の割合も少なくなっていた。次に我々は、配合剤の処方が予後として、糖尿病大血管障害(虚血性心疾患および脳梗塞)による入院と重症低血糖の発症に影響を与えているか検討した。その結果、配合剤群では単剤併用群に比べて、虚血性心疾患による入院は15%程度減少していたが、わずかながら統計学的有意差は認められなかった。重症低血糖の発症では配合剤群は、単剤併用群に比べて高くなっていたが、統計学的有意差は認められなかった。さらに、予後に係るその医療費を比較したところ、配合剤群では、虚血性心疾患および脳梗塞に係る医療費も少なく、医療経済的にも有効である可能性が示唆された。
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