2020 Fiscal Year Research-status Report
NF2遺伝子変異に着目した悪性中皮腫の診断法および治療法の確立
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19K07425
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| Research Institution | Hyogo Medical University |
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Principal Investigator |
佐藤 鮎子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20419823)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 亨 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20227408)
結城 美智子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60467587)
篠原 義康 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60723509) [Withdrawn]
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 悪性中皮腫 / NF2 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
悪性中皮腫はアスベスト曝露に起因する難治性腫瘍であるが、その発症に寄与するゲノム異常として活性型のがん遺伝子変異は同定されておらず、CDKN2A、BAP1、NF2などのがん抑制遺伝子の異常（不活化変異）を特徴とする。これらの異常を調べる手法として、CDKN2Aの近傍に存在して高頻度に共欠失するMTAPの免疫染色による代替法や、BAP1遺伝子の変異を免疫染色で調べる手法の有用性は確立されているのに対して、NF2遺伝子の異常については遺伝子レベルでの解析が中心であるため、日常の病理診断にNF2遺伝子異常の検出を普及させることが難しい。
前年度までに、NF2遺伝子異常の有無が明らかになっている悪性中皮腫由来の培養細胞を用いて、NF2遺伝子産物であるMerlinに対する免疫染色について検討し、NF2遺伝子異常の有無とMerlin染色性の有無に相関性が認められる手法を見出した。そこで本年度は、悪性胸膜中皮腫の胸水セルブロック標本（20症例）を用いて、FISH法によるNF2遺伝子解析の結果とMerlin免疫染色の結果を比較し、その有用性について検討した。
FISH法によってNF2遺伝子に異常が認められなかった10例のうち、9例では細胞質あるいは細胞膜にMerlin陽性を示した。一方、NF2遺伝子のhemizygous欠失が示された10例のうち7例において、Merlin免疫染色での明らかな発現消失が認められた。FISH法で示されるNF2遺伝子異常の予測におけるMerlin免疫染色の感度は70%、特異度は90%であったことより、胸水セルブロック標本を用いた検討においても、NF2遺伝子異常の予測にMerlin免疫染色が有用であることが示された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
悪性中皮腫の胸水セルブロック標本を用いて、FISH法で示されるNF2遺伝子異常の有無とMerlin染色性を比較することによって、Merlin免疫染色は感度70%、特異度90%でNF2遺伝子異常を予測可能であることを示した。しかし、胸水セルブロック標本などの臨床検体を用いたMerlin免疫染色においては、悪性中皮腫由来の培養細胞の場合とは異なり、発現強度や局在に多様性がみられた。その意義について現在解析を進めている。
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| Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果をもとに、NF2遺伝子異常とMerlin免疫染色との相関性について検討を進める。悪性中皮腫症例の標本を用いた免疫染色では、悪性中皮腫由来の培養細胞を用いた検討と比べて発現の強度や局在に多様性がみられたため、各症例の遺伝子異常の詳細な情報と比較して、その意義について検討する。今後、悪性中皮腫の組織標本を用いた臨床病理学的な検討も加えて、NF2遺伝子異常に基づく診断法の確立に繋げられるように研究を進める。
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Research Products
(10 results)
