2021 Fiscal Year Annual Research Report
LPSプレコンディショニングによるマラリア重篤化抑制手法の確立
Project/Area Number |
19K07493
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
小野 岳史 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 国際感染症学, 助教 (20535182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 教授 (70531391)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | malaria / trained innate immunity / macrophage |
Outline of Annual Research Achievements |
非致死量のLPSを3日間腹腔投与することによって免疫賦活化現象であるLPSプレコンディショニングをマウスに誘導すると、ネズミマラリア原虫P. yoelii17XL 致死株感染における血中原虫率の減少および生存率の改善が得られた。LPSプレコンディショニングでは、骨髄由来のマクロファージがとくに肝臓へ遊走し集積するが、これらのマクロファージが大腸菌由来のLPSでプレコンディショニングしたにもかかわらず、非特異的にマラリア原虫に対する貪食能が増強することがわかった。その際には、TNFの産生量は減少せず、IFN-γのピークを遅らせるだけであった。LPSプレコンディショニングにより骨髄由来のF4/80highCD11blow マクロファージが肝臓で誘導され、貪食能が増強されることから、これらの細胞をセルソーターで分取し、マラリア原虫感染赤血球に対する貪食能を in vitro で解析した。その結果、LPSプレコンディショニング施行マウスにおけるF4/80high CD11blow マクロファージにおいて、マラリア原虫感染赤血球に対する貪食能が亢進していることが明らかとなった。さらに、F4/80high CD11blow マクロファージを移入したマウスに対して、P.yoelii17XL致死株を感染させたところ、生存率の改善が得られた。 これらの結果から、LPSプレコンディショニングによって誘導されたF4/80high CD11blow マクロファージによる貪食能の亢進および感染初期における炎症性サイトカインの抑制がマラリア原虫感染制御に有効であることが示された。
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