2019 Fiscal Year Research-status Report
臓器特異的な糖代謝異常を反映する分泌小胞内蛋白質の探索と体液診断への応用
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19K07871
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
高橋 伸彦 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (20372279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 敦 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (90422005)
大村 一将 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (10803637)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖代謝異常 / 分泌小胞 / 体液診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は細胞外分泌小胞に含まれるタンパク質を検体として、臓器特異的な糖代謝異常を反映するマーカーを検索・同定することを目的としている。本年度は糖代謝にかかわる主要な臓器の構成細胞である脂肪細胞や骨格筋細胞に注目し検討を進めた。まず、脂肪細胞のインスリン抵抗性について、特に脂肪組織の炎症を反映するモデルの検討を行った。脂肪細胞において、炎症とかかわりあいの考えられる転写因子をsiRNAを用いてノックダウンさせ、TNF-alphaなどの炎症性サイトカインの発現・分泌を指標とし炎症の惹起を評価した。一方、骨格筋細胞においては糖代謝の改善に関係する薬剤、メトホルミンの添加による検討も加えた。その際、骨格筋細胞の代謝への影響も含めて検討を行った。これらの処置を行い、細胞培地をあつめ、さらに濃縮した後、細胞外分泌小胞の抽出を行った。そして、得られた細胞外分泌小胞サンプルの質を評価した。この研究は前述の通り細胞外分泌小胞に含まれるタンパク質を検索するものであるため、その後のタンパク質解析の精度を上げるためには細胞外分泌小胞に含まれないタンパク質はサンプルより除く必要がある。そのため、どのような方法や条件が適切なのかを検討した。また、質量分析に必要なタンパク質量は一般的な核酸、RNAなどの解析に必要な量より多いため、収量を上げるための検討も行った。現在、今後の検討に用いる分析用をサンプルを蓄積しており、今後の解析に用いる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概要にて説明のとおり、さまざまな糖代謝異常モデルの検討を行ったこと、細胞外分泌小胞内のタンパク質を解析するためには相当の量が必要であり収量を上げる工夫が必要であったこと、かつ高い精製度が求められることなども相まって時間を要した。さらに、投稿していた論文の改訂に際して追加実験が発生し、本課題に費やす時間が少なくなってしまったことが原因としてあげられる(この論文はすでに受理されている)。今後は計画通りに進められる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた細胞外分泌小胞内蛋白質溶液を二次元電気泳動を用いて分離したのち、変化を認めたスポットを同定し、ゲルから蛋白質を回収する。次に回収した蛋白質を質量分析にて同定する 。同定された蛋白質の中でも臓器あるいは細胞特異的なものや変化の大きいものを指標として分泌小胞内マーカー蛋白質の候補とする。さらに、得られたマーカー蛋白質の細胞内発現動態(遺伝子発現も含めた)も検討に加え、病態との関連を探ることとする。 次に、病態との関与が認められた蛋白質について、in vivoの実験系にて詳細な評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)平成31年度中に質量分析の結果が得られず、その後の研究に用いる抗体や試薬などを購入できなかったためである。 (使用計画)令和2年度は質量分析の結果に基づき物品を購入する予定である。そのため、必要額に変更は生じない。
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Research Products
(5 results)