2021 Fiscal Year Annual Research Report
原発性アルドステロン症におけるバイオマーカーとしてのマイクロRNAの意義
Project/Area Number |
19K07885
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉本 貴宣 東京医科歯科大学, 医学部, 非常勤講師 (80297457)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルドステロン / 副腎腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は次世代シーケンサーを用いて、アルドステロン産生腺腫(APA)に特徴的なmicroRNA(miRNA)を 探索し、その病態生理における役割を検討することを目的としている。これまでに、次世代シーケンサーによる網羅的解析によって、KCNJ5体細胞変異を有するAPA(KCNJ5 mut+)に特異的な分布をするmiRNAを抽出した。そのうち、KCNJ5 mutにおいて発現が低下しているmiRNAの一つとしてmiR-299-3pを同定した。miR-299-3pはAPA組織において、アルドステロン合成酵素であるCYP11B2の遺伝子発現と逆相関していることを報告している。APAの発症メカニズムにおけるmiR-299-3pの機能を明らかにするため、副腎皮質癌細胞由来のH295Rを用いた解析を施行した。まずmiR299-3p mimicの遺伝子導入を行い、下流のターゲットと予想される遺伝子発現の解析を行ったところ、アンギオテンシン受容体をコードするAGTR1や、マトリックス・メタロプロテナーゼをコードするMMP-2といった遺伝子の発現量低下を有意に認めた(P <0.05)。一方で、APA組織を用いた検討でmiR299-3pと有意に逆相関していることが分かっていたCACNB2遺伝子については発現量の明らかな変化を認めず、CYP11B2遺伝子についても発現量の変化は認めなかった。一方、miR-299-3p inhibitorによるknockdown実験で、標的遺伝子のタンパク質発現量を評価したところ、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HS-PG)の分解に関与する酵素であるHPSEの発現量上昇を確認した。また、CYP11B2のタンパク質発現量についても有意な変動は認めなかった。以上より、miR299-3pはAPA発症においてアルドステロン合成能の点では関与しておらず、細胞間基質などの面で腫瘍発症に関与している可能性がある。
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Research Products
(1 results)