2020 Fiscal Year Research-status Report
臨床的グリオーマ実験モデルを使用した放射線脳壊死への免疫応答の解明
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19K08135
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
中松 清志 近畿大学, 医学部, 准教授 (80351633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 貢 近畿大学, 医学部, 准教授 (40609997)
土井 啓至 近畿大学, 医学部, 講師 (50529047)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 放射線性脳壊死 / 脳腫瘍 / 悪性神経膠芽腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
グリオーマに対する治療成績は放射線治療の進歩により向上している一方で放射線照射による脳壊死の症例が存在することも事実である。現在までに研究代表者中松は、若年者に多く生じ、照射線量の少ない脳腫瘍について臨床データをまとめ、脳壊死がほぼ生じていないことを放射線腫瘍学会で発表報告した。一方、高線量を用いる膠芽腫に対する放射線治療において、照射強度をコントロールすることで得た臨床データを解析し論文化を開始している。 放射線による脳壊死は周囲に浮腫を伴うことで様々な神経脱落症状を呈し、最終的には生命の危機を呈する。現在、臨床では抗VEGF抗体による治療が薬事認証され使用されているが、脳壊死再発を来す症例もあり本病態がすべて解明されているわけではない。近年の研究では、脳壊死組織内で慢性の炎症性変化が生じていることが示されている。そこで、本研究では脳壊死組織内における免疫応答の解析を試みている。 共同研究者である藤田は脳壊死組織内で集積亢進しているM2マクロファージではB7-H3、B7-H5といった免疫抑制分子の発現が亢進していることを示した。同様にグリオーマ放射線脳壊死マウスモデルにおいても同分子の発現亢進が見られ、これらが浮腫の原因となることを示した。 共同研究者の土井は、放射線性脳壊死および脳神経膠芽腫に対する情報収集のためAmerican Society for Radiation Society に参加し研究成果の発表を行った。また、マウスを用い実際に放射線照射に伴う線維化を肺について確認することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床面からの研究、基礎的な研究は進んでいる。 COVID19の拡大に伴い、学会での情報収集が困難になった。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスモデルを用いた放射線性脳壊死の条件検討を継続し、最適な実験系の確立を目指す。最終的には臨床像を再現するべくグリオーマ放射線脳壊死マウスモデルを構築し、免疫細胞遊走因子である各種ケモカインおよびその遺伝子発現を解析する。
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Causes of Carryover |
学会参加予定がキャンセルとなり、使用予定であった旅費使用が無くなった。
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Research Products
(5 results)