2020 Fiscal Year Research-status Report
Computer Assisted Diagnosis for Predicting Lung Cancer by Using Large Scale Low-Dose CT Database
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19K08155
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
白石 順二 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (30551311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 聡 金沢大学, 保健学系, 教授 (30313638)
田中 利恵 金沢大学, 保健学系, 准教授 (40361985)
南 哲弥 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60436813)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 未病 / 肺がん / CT検診 / コンピュータ支援診断 / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢化少子化社会では,健康な状態を長く維持するため,病気になる前の「未病対策」が重要とされている.しかしながら,未病の段階で,何らかの異常を見つけて病気を予防するための診断法に関しては未だ不明な点も多く,その解明には新しい視点からのアプローチが必要である.呼吸器領域における未病の検出を目的とする本研究では,長期にわたり継続的に肺がんCT検診を受診している被検者のうち,最初のうちは正常と判定されながら,途中で異常所見が発見された被検者の,異常所見が発見される前の,正常と判定された最後の年の段階を未病と仮定し,世界で最初の未病の状態の症例の画像データベースを初期の段階で構築する.その上で,呼吸器領域における未病の検出を具現化し,そのためのCADを開発することを研究のゴールとしている. 本研究の初年度である2019年度は,最初に,未病の状態の症例の画像データベースを構築するためのベースとなる肺がんCT検診全体の画像データベース(以後,石川DB)を構築し,2年目の2020年度は,最初に肺がん石川DBの基本的な特性解析を行い,同時に未病のデータベース作成に必要な統計データを求めた.さらに,未病の検出を前提として,画像データベースに含まれる被検者を喫煙者と非喫煙者のグループに分け,通常の読影診断では判定が困難な,肺の微細な構造の変化に起因する喫煙肺と非喫煙肺の判別が深層畳み込みニューラルネットワーク(DCNN)で可能かどうかを検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の初年度である2019年度は,最初に,未病の状態の症例の画像データベースを構築するためのベースとなる肺がんCT検診全体の画像データベース(以後,石川DB)を構築し,2年目の2020年度は,最初に肺がん石川DBの基本的な特性解析を行った.2019年度までに収集を完了した石川DBに含まれるおよそ11年間にわたる検査の総数は45,337件で,検診者数は23,065名(男性14,764名,女性8,301名)であった.このうち,未病の検出の研究の対象となる期間中に2回以上受診された被検者の数は9,396(40.7%)名で,さらに,1,927名(8.4%)は5回以上の受診数であった.石川DBにおける年齢層の分布は50歳代が全体の42.8%で最大で,全体に占める喫煙歴ありの割合は男性75.5%,女性32.0%で, 40歳代が最も多かった.また,肺がんの要精検診者数は全体の2.2%(男性1.8%,女性2.8%)で,その際の異常所見は,結節影が全体の65.3%で,最も高かった. 2020年度に実施したもう一つの研究では,未病の検出を前提として,画像データベースに含まれる被検者を喫煙者と非喫煙者のグループ分けが可能かどうかを検証した.検診において正常と判定された被検者グループの中から非喫煙者3,857名,喫煙者5,985名を選出し,深層畳み込みニューラルネットワーク(DCNN)で学習・評価を行った結果,全体の分類精度は76.1%となり,DCNNを用いることにより微細な肺構造に起因する被検者の差異の分別が可能であることが判明した. また,共同研究者の勤務先で予定していた,肺がん疑いで確定診断が未定の症例を放射線科医2名の読影により検証する作業については,新型コロナウイルスの感染防止の観点から国内での移動が実施でできず,次年度以降に持ち越すこととなった.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の3年目の前半は,前年度に実施した,検診において正常と判定された被検者を既知の喫煙歴を用いて,喫煙者と非喫煙者のグループに分割し,CT画像情報だけで,両者のグループの判別が可能かどうかの検証を発展させ,正常と判定された被検者を,実際の年齢で分類し,CT画像から実年齢の判別が可能かどうかを検証する予定である.判別には昨年同様,人工知能(AI)による機械学習を応用する.また,石川DBに含まれる,初回の検診では「異常なし」と判定されたが,その後の経年的な検診で「異常あり」と判定されたグループについて,最後に正常と判定された段階での画像データを評価対象として,未病の状態の症例の画像データベースを別に構築し,未病の状態と正常な状態でのCT画像による分類が可能かどうかを試みる.ただ,2020年度初めから現在に至るまで,新型コロナウイルスによる感染拡大は収束しておらず,医療機関で勤務する研究分担者の新型コロナウイルスの診療業務における負担が大きくなっているため,昨年度に実施できなかった症例確認等の作業がさらに遅れることが予想されている.
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Causes of Carryover |
当初予定していた海外での国際研究集会への参加および研究発表が新型コロナウイルスの影響で延期になったため.今回,繰越となった旅費は次年度に開催される海外での国際研究集会への参加に充填する予定である.
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