• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2021 Fiscal Year Research-status Report

HBV遺伝子のヒト遺伝子への組み込みに対する統合的遺伝子解析から肝発癌を予測する

Research Project

Project/Area Number 19K08427
Research InstitutionNagoya City University

Principal Investigator

藤原 圭  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (70635804)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 飯尾 悦子  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (20543797)
Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
KeywordsB型肝炎 / integration / structural variation
Outline of Annual Research Achievements

B型肝炎ウイルス(HBV)感染は、肝硬変や肝細胞癌の原因となる重篤な感染症である。世界で約2億5千万人がHBV慢性感染をきたしており、マラリアなどと同様に世界の公衆衛生上の問題の一つである。我々は、HBVの遺伝子解析を通じて、世界におけるHBV遺伝子型の分布、HBVに対する抗ウイルス治療と遺伝子の関連に関する研究などを行ってきた。我々は複数のstructural variation (SV)が複雑に複合的に起こるcomplex SVsがHBVで起こっていることを発見した。それは今までに報告されていない遺伝子変化であり、ウイルス学的に非常に興味深い現象である。さらに、それが臨床的にどのような意義を持つのかを詳しく調査する必要がある。もともとHBVはヒトゲノムに挿入されることが知られており、それはintegrationと呼ばれている。今回、complex SVsやそれに類似する変化が、いわゆるHBV integrationで起こるかどうかを調査している。HBVにみられるcomplex SVsについては現在までに約100配列を詳細に解析しており、その好発部位、高頻度のパターン、特徴的な挿入モチーフ配列など詳細を把握している。また、まれにヒトゲノムの遺伝子断片が挿入配列として存在する事も確認している。肝発癌に関連すると報告されているHBVの宿主ゲノムへintegrationとは宿主ゲノムにHBVゲノム断片が挿入されるSVであり、さらに挿入されるHBVゲノム断片内にもcomplex SVsが存在する可能性もあり、今回、HBV integrationの塩基配列を我々が過去に解析したHBVのComplex SVパターンを元に詳細な解析を行っている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

現在までに約100例のHBVゲノムにおけるcomplex SVsの詳細な特徴は明らかにすることができている。またヒト以外の霊長類に感染するHBVウイルスゲノムにおけるcomplex SVsについても詳細な解析を行い、論文として報告している。これらの研究成果をもとにintegration配列の解析に必要な遺伝子変化のパターンに関するデータを蓄積している。引き続き、HBVウイルスゲノムの配列決定ならびにintegrationされたHBVの遺伝子配列決定を進めている。HBVについては、世界の国、地域により異なる遺伝子型が存在している。異なる遺伝子型においてintegrationにより生じるSVsが一定とは断定できない。したがって本邦以外の遺伝子配列データも重要と思われ、香港から肝細胞癌におけるHBVのヒトゲノムへのintegrationとして報告されているデータをもとにLiらが (Li et al, Viruses 2021)、そのデータをbioinformatics解析したcomplex SVsの存在位置に関する解析の確認作業を行っている。さらにMengらは(Meng et al., Genes Genomes Genetics 2019)、HBVがintegrationされた細胞株において、complex SVsによるintegrationが起こっていることを報告しており、その研究で解析された配列データについてもcomplex SVsのパターンやintegrationされたHBVの遺伝子配列内のSVsの存在について解析を進めている。今のところ、肝細胞癌症例や細胞株においてintegrationされたHBVゲノムにSVやcomplex SVsが散見されることを確認しており、現在、継続的に解析作業を続けている。

Strategy for Future Research Activity

HBVにみられるcomplex SVsの詳細な解析からブレイクポイント、挿入遺伝子配列、欠損配列の特徴が得られており、それらの情報を元に、今回の検討を進めている。2021年に新たに我々はヒト以外の霊長類HBVにおけるcomplex SVsの特徴を解析した結果を論文として報告しており (Nagura et al., Virology journal 2021)、世界中の他の研究者に先んじる形でcomplex SVsの研究を進めている。ヒト以外の霊長類HBVにみられるcomplex SVsのパターン解析において新規のHBV遺伝子ブレイクポイントが明らかとなった。2021年science誌に2万年前にさかのぼるヒトHBV遺伝子配列の報告がなされ、その中で新たな多型的SVsを有するHBV遺伝子が発見されている。それら先史時代のHBV遺伝子配列では我々がヒト以外の霊長類HBV遺伝子配列で発見したブレイクポイントと同じポイントにSVが挿入されるものがみられ、我々の研究を進める上でも注目すべき新たな知見と考えている。今後、重要となるのは、我々の特定の地域の肝細胞癌症例における解析と、海外におけるHBV integration症例、HBV integrationをきたした細胞株の遺伝子データで、ブレイクポイント、complex SVsパターン、挿入配列の特徴を調べ、すべてに共通する変化や、それぞれに特有な遺伝子変化を明らかにすることであり、マッピングしたデータベース化をすることも重要となる。それをもとに日本における肝細胞癌のintegration症例での特徴、発がんを考える上での重要な要素をより明確にできると考えている。

Causes of Carryover

学会等のWEB開催により旅費の減少、また物品費の減額があります。次年度に学会等への出張や試薬購入の予定しています。

  • Research Products

    (10 results)

All 2021

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 3 results) Presentation (6 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] Special Issue “Structural Variations and Molecular Genetics of Hepatitis Virus and Related Viruses”2021

    • Author(s)
      Fujiwara Kei
    • Journal Title

      Viruses

      Volume: 13 Pages: 1456~1456

    • DOI

      10.3390/v13081456

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Complex structural variations in non-human primate hepatitis B virus2021

    • Author(s)
      Nagura Yoshihito、Fujiwara Kei、Matsuura Kentaro、Iio Etsuko、Tanaka Yasuhito、Kataoka Hiromi
    • Journal Title

      Virology Journal

      Volume: 18 Pages: 200

    • DOI

      10.1186/s12985-021-01667-0

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Development of hepatocellular carcinoma from various phases of chronic hepatitis B virus infection2021

    • Author(s)
      Suzuki Takanori、Matsuura Kentaro、Nagura Yoshihito、Iio Etsuko、Ogawa Shintaro、Fujiwara Kei、Nojiri Shunsuke、Kataoka Hiromi、Tanaka Yasuhito
    • Journal Title

      PLOS ONE

      Volume: 16 Pages: e0261878

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0261878

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] B型肝炎ウイルスの新しい遺伝子変化 Complex structural variation 90例の解析―ヒトゲノムのウイルスゲノムへのインテグレーションを含めてー2021

    • Author(s)
      藤原圭、野尻俊輔、片岡洋望
    • Organizer
      第107回日本消化器病学会総会
  • [Presentation] B 型肝炎ウイルスの新しい遺伝子変化Complex structural variation 102 例の解析―ヒトゲノムのウイルスゲノムへの挿入を含めて―2021

    • Author(s)
      藤原圭、鈴木孝典、野尻俊輔
    • Organizer
      第57回日本肝臓学会総会
  • [Presentation] HCV 排除後の肝硬変患者における血清サイトカイン/ケモカイン発現解析2021

    • Author(s)
      名倉 義人、松浦 健太郎、鈴木 孝典、藤原 圭、野尻 俊輔、田中 靖人
    • Organizer
      第57回日本肝臓学会総会
  • [Presentation] 進行肝細胞癌に対するLenvatinib投与における治療効果と副作用マネージメントの検討2021

    • Author(s)
      鈴木孝典、名倉義人、松浦健太郎、藤原圭
    • Organizer
      第57回肝臓学会総会
  • [Presentation] 免疫寛容期及び,非活動性B型肝炎キャリアにおける長期臨床経過に関する検討2021

    • Author(s)
      鈴木孝典,名倉義人,松浦健太郎,藤原圭
    • Organizer
      第57回肝臓学会総会
  • [Presentation] B型肝炎慢性肝疾患における核酸アナログ投与例の発癌予測マーカーの探索2021

    • Author(s)
      鈴木孝典,松浦健太郎,藤原圭
    • Organizer
      第44回日本肝臓学会西部会
  • [Book] Human Viruses: Diseases, Treatments and Vaccines2021

    • Author(s)
      Shamim I. Ahmad, Kei Fujiwara (contributer)
    • Total Pages
      745
    • Publisher
      Springer Cham
    • ISBN
      978-3-030-71164-1

URL: 

Published: 2022-12-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi