2019 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms for the development of cardiac diastolic dysfunction in diabetic hearts; From the view point of Mitochondria-SR network.
Project/Area Number |
19K08509
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
都島 健介 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50436482)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インスリン抵抗性 / ミトコンドリア / 筋小胞体 / 心筋微細構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
インスリンは心筋の代謝、大きさ、収縮蛋白の恒常性を制御しており、心筋のストレス応答に必須の因子である。心筋インスリン作用不全による代謝異常と構造異常を引き起こすメカニズムに興味を持ち研究を進めている。 健常な成熟心筋ではおもにグルコースと脂肪酸をミトコンドリアで酸化することで効率的にATPを産生している。しかし、糖尿病心筋では相対的に脂肪酸の利用が亢進しており、ミトコンドリア機能異常から心筋肥大、心不全に至ることを見出した。更に、心筋脂肪毒性の動物モデルにおいて心筋のミトコンドリア形態異常およびmTORシグナル異常が見られることも発見した。インスリンシグナルの時空間制御において、ミトコンドリア-筋小胞体ーT管構造はシグナル伝達のプラットフォームとして必須であるとの仮設をもっており、病態ストレスにおけるインスリンシグナル異常と心筋微細構造の変化をナノメートルのスケールで詳細にイメージングする技術の開発をめざしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、 (1)APEX2との融合蛋白による電子顕微鏡プローブの開発 (2)マウス心臓への遺伝子導入 (3)超高圧電子顕微鏡による開発と3次元解析技術の開発 を行う計画である。 (1)我々は、ミトコンドリアー筋小胞体膜構造の解析のため、筋小胞体を電子顕微鏡で良好に標識する電験用プローブを開発した。培養細胞において筋小胞体膜に良好に局在することを通常型電子顕微鏡で確認している。また、インスリンシグナル分子の局在をナノメートルのスケールで観察するためにインスリンシグナル分子とAPEX2との融合蛋白を作成し、培養細胞で発現確認を完了したところである。(2)(1)で作成した電子顕微鏡用プローブを生体の心臓に遺伝子導入し、実際の生体で観察することを目標としている。当初の計画ではアデノ関連ウイルスを作成しマウス心臓へ遺伝子導入する予定であった。しかし、心筋特異的トランスジェニックマウスを作成するほうが、効果が確実であり、胎児期から新生児期の心臓の解析にも応用可能であることからトランスジェニックマウスの作成する方針に変更した現在は心筋特的プロモーターとして実績のあるαMHCプロモーターを用いたトランスジェニックマウス作成用のプラスミドも完成しており、コロナウイルス収束を待って東大発生工学センターにマウス作成を発注する予定でる。(3)に関しては現時点では電子線トモグラフィーを用いた3次元イメージング技術の開発を目指しており、微細構造解析プラットホームの電子顕微鏡観察技術を用いる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までのところ、電子顕微鏡観察用プローブを作成し、培養細胞レベルで予想通りに働くことを確認したところである。また、開発したプローブはトランスジェニックマウス作成により心筋へ発現させる予定である。今年度の開発項目はマウス心臓を用いた電子顕微鏡による3次元イメージング技術の構築である。現時点では、超高圧電子顕微鏡による電子線トモグラフィー技術の導入を予定しているが、FIBーSEM技術による3次元構築技術も報告が増えており、今年度の検討課題である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で出席予定であった学会がキャンセルとなり、計上していた旅費を使用していない。遺伝子改変マウスを作成する予定となっており、その作成費用、維持費用に充当する予定である。
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