2020 Fiscal Year Research-status Report
梗塞後リモデリング進展過程におけるβ-アレスチン偏向性受容体CXCR7の機能解明
Project/Area Number |
19K08510
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 睦生 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (90431642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東口 治弘 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (40436358)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CXCR7 / 心筋梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
βアドレナリン受容体遮断薬 (β遮断薬)などのGタンパク質共役受容体(GPCR)標的薬は心不全治療の第一選択薬である。その効果はGPCRの副経路とも言われるβ-アレスチン経路の活性化が担ってい ることが報告され、他のGPCRにおいてもβ-アレスチン経路活性化が注目されている。GPCRのひとつであるCXCR7 は、β-アレスチンのみを活性化するβ-アレスチン偏向性受容体であり、成体マウス心臓に発現するGPCRのなかで最も発現が高い。しかし、成体マウス心臓におけるCXCR7の役割は不明のままであった。本研究の目的は「心筋梗塞後リモデリングにおけるβ-ア レスチン偏向性受容体CXCR7の機能解明」である。 1CXCR7機能の主座となる細胞種は心筋細胞である:マウス心臓を用いたin situ hybridizationやsingle cell-RNAseq解析結果から、CXCR7の遺伝子発現は心筋細胞に多く認められ、一方で血管内皮細胞において発現している細胞は非常に少なかった。心筋特異的CXCR7遺伝子欠損(KO)マウスの心筋梗塞モデルを作成したところ、野生型マウスと比較して心収縮能は有意に低下した。一方で血管内皮細胞特異的CXCR7 KOマウスや線維芽細胞特異的CXCR7 KOマウスにおいては、表現系に変化を認めなかった。これらの結果から梗塞後リモデリング過程においてCXCR7機能の首座となる細胞腫は心筋細胞であると考えられた。 2 CXCR7特異的アゴニストであるTC14012はβ-アレスチンを介してERKを活性化する:心筋細胞のCXCR7による心保護効果がβ-アレスチンシグナルものかを確認するために、CXCR7アゴニスト(TC14012)とアレスチン阻害剤(barbadin)を用いて検討を行った。結果、CXCR7の細胞死抑制効果とβ-アレスチンの介在が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は心筋梗塞におけるCXCR7の心保護作用を見出しており、本年2月に論文として公開されている(https://doi.org/10.1038/s41598-021-83022-5)。
昨年までの研究結果に引き続き、CXCR7が心筋細胞内でERKを活性化すること、細胞死抑制に働くこと、ヒト不全心においても左室補助人工心臓植え込み前後で変動があることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は心筋梗塞におけるCXCR7の心保護作用を見出しており、すでに論文として公開されている(https://doi.org/10.1038/s41598-021-83022-5)。本論文では成体マウス心臓におけるCXCR7のloss of functionモデルが梗塞後心臓リモデリングを促進するということを示した。一方で、CXCR7の活性化がin vivoにおいて心保護に働くか、実際に創薬標的として有望であるかどうかは検討していない。
このため、今後の研究の推進方策として、心臓特異的にCXCR7を過剰発現させたモデルやCXCR7アゴニストの梗塞後リモデリング抑制効果を推進中である。
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Causes of Carryover |
研究の進行が若干遅れたため。
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