2020 Fiscal Year Research-status Report
The quality of lipid component of pulmonary surfactant in lung diseases
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19K08597
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高宮 里奈 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (70365419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 充史 札幌医科大学, 医学部, 助教 (00768939)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脂質代謝 / COPD / 線維化 / 間質性肺炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は種々の肺疾患の中からCOPDと線維化における肺内の環境変化に着目し検証を行うことを目的とした。 喫煙曝露1週間の肺では肺サーファクタント中のSP-Dがカルボニル化合物による修飾を受けていることが分かった。そこで、SP-Dを精製し、これにたばこ煙抽出液、およびたばこ煙ガス相中の主要な活性成分の1つであるアクロレインを添加し、SP-Dの機能について検証を行った。その結果、SP-Dは、たばこ煙ガス相中のアクロレインにより修飾を受け、その高次構造取れなくなり構造が変化することにより、糖鎖認識機能が低下し、マクロファージ貪食機能の低下など、たばこ煙による自然免疫能低下の一因になることを見出した。 次に、ブレオマイシン誘発性肺線維化モデルを用い検証を行った。ブレオマイシン塩酸塩をアルゼット浸透圧ポンプを用いて皮下に投与し、肺内に線維化が起きているかHE染色により検証を行った。その結果、4週間目で肺の胸膜直下から線維化が認められた。そこで、この組織を用いリピドミクス解析を肺組織および、肺胞洗浄液を用い検証を行った。その結果、肺組織でも肺胞洗浄液中でもPUFAの産生が亢進していた。肺胞微石症モデルマウス (Npt2b)欠損マウスでもPUFA(高度不飽和脂肪酸)の亢進は認められていたが、肺組織でのPUFAの産生量はNpt2b欠損マウスと同程度または、2倍程度だったのに対し、肺胞洗浄液ではNpt2b欠損マウスの20倍程度まで上昇していた。また、PUFA以外の脂肪酸、リゾリン脂質、遊離脂肪酸なども肺組織中での変化は軽微だったが、肺胞洗浄液中では産生が亢進していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
喫煙による肺サーファクタントへの影響について成果をまとめることができ、さらに肺線維化モデルを立ち上げ、リピドミクス解析を行い、線維化に伴う脂質変化について検証を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ブレオマイシン誘発性肺線維化モデルを用い、脂質環境の変化(リピドミクス解析)と各種ホスホリパーゼA2(PLA2)の発現解析(定量的PCR、ウェスタンブロット、免疫染色)を行う。そして、この脂質プロファイルやPLA2の発現プロファイルの結果をもとに候補となるPLA2を同定し、線維化におけるPLA2の機能解析まですすめたい。
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Causes of Carryover |
効率的な物品調達を行うことができ、一方で予定していた研究打ち合わせを行うことができなかったため。 今回未使用額については令和3年度の予算とともに消耗品や、研究打ち合わせの費用として使用する予定である
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Research Products
(2 results)