2019 Fiscal Year Research-status Report
オートファジー基質p62を標的とした新しい悪性中皮腫治療法、診断法の開発
Project/Area Number |
19K08616
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
篠原 義康 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60723509)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 亨 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20227408)
佐藤 鮎子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20419823)
結城 美智子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60467587)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 悪性中皮腫 / p62(SQSTM) / 抗がん剤抵抗性 / 細胞増殖 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性中皮腫は予後不良な悪性腫瘍であり、有効な治療法の開発は進んでいない。一方、p62(SQSTM)は、抗癌剤耐性などに関わる多機能なシグナル分子(足場蛋白質)で、オートファジーを介して分解される蛋白質の一つとして知られている。代表者らは、悪性中皮腫細胞株において、飢餓(ストレス)によりオートファジーを活性化させた時、p62は分解されずに、細胞内で増加する興味深い知見を得ている。これは、悪性中皮腫細胞の飢餓というストレスに対して適応(生存)しようとする反応であると考えられ、このような反応が、悪性中皮腫が極めて強い抗癌剤耐性を示す原因である可能性がある。今年度は、悪性中皮腫の細胞生存・増殖、抗癌剤耐性とp62やオートファジーの関連性について確認した。悪性中皮腫細胞株において、p62の発現をsiRNAで抑制し、抗腫瘍効果や抗癌剤感受性が増加することが確認できた。次に、悪性中皮腫の細胞生存・増殖機構および抗癌剤耐性機構を明らかにするために、GFP-LC3発現悪性中皮腫細胞株(MM16-GFP-LC3、MM56-GFP-LC3、MSTO-211H-GFP-LC3、ACC-Meso4-GFP-LC3)にシスプラチンを長期間添加し、ストレスに適応したシスプラチン耐性悪性中皮腫細胞株の作製を試みた。その結果、親細胞株に比べ、シスプラチン感受性が低いシスプラチン耐性GFP-LC3発現悪性中皮腫細胞株(MM16-GFP-LC3-cis-R、MM56-GFP-LC3-cis-R、MSTO-211H-GFP-LC3-cis-R、ACC-Meso4-GFP-LC3-cis-R)が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①p62やオートファジーが悪性中皮腫の細胞生存・増殖機構および抗癌剤耐性機構に深く関与すると考えられる知見を得ている。 ②シスプラチン耐性悪性中皮腫細胞株を作製することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
GFP-LC3発現悪性中皮腫細胞株(MM16-GFP-LC3、MM56-GFP-LC3、MSTO-211H-GFP-LC3、ACC-Meso4-GFP-LC3)や今年度作製したシスプラチン耐性GFP-LC3発現悪性中皮腫細胞株(MM16-GFP-LC3-cis-R、MM56-GFP-LC3-cis-R、MSTO-211H-GFP-LC3-cis-R、ACC-Meso4-GFP-LC3-cis-R)を用いて、p62、オートファジーなどについて調べ、これらを調節することにより、細胞増殖や抗癌剤抵抗性を制御できるか検討する。
|