2019 Fiscal Year Research-status Report
The role of autophagy in mesangial cells in the development of chronic kidney disease
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19K08705
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
長井 幸二郎 徳島大学, 病院, 講師 (40542048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 康将 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (60432754)
冨永 辰也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (80425446)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オートファジー / メサンギウム細胞 / 糖尿病性腎臓病 / ループス腎炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病患者は末期腎不全予備群であるだけでなく心血管疾患合併のリスクも高く対応が急務である。主たる原疾患として糖尿病、膠原病があるが、治療法としては、腎機能低下を遅らせるものにとどまり、不十分である。本研究では、メサンギウム細胞が各疾患の初期病変形成部位であることに着目し、主に糖尿病や全身性エリテマトーデスにおける、メサンギウム細胞の細胞恒常性の破綻をきたす機構を、オートファジーを標的に解析を進める。令和元年度は糖尿病性腎臓病、ループス腎炎における糸球体内でのオートファジーの関与を証明するためLC3-GFPマウスの飼育を開始した。糖尿病性腎臓病に関してはLC3-GFPマウスをストレプトゾトシン誘導による糖尿病モデルにおいて安定した表現系を呈するマウスの系統にバッククロスしている。ループス腎炎に関してはマウスループス腎炎モデルであるMRL/lprマウスとLC3-GFPマウスをすでに掛け合わせており、生後6ヶ月の時点でLC3-punctaの糸球体内での発現を検討する。また現在生後6ヶ月、1年のMRL/lprマウスの腎組織をすでに少数匹採取しており、腎炎病変が形成されていることは確認した。現在オートファジーマーカーであるLC3とP62の染色を施行中である。またプリスタン誘導によるループス腎炎モデルもLC3-GFPマウスに対して作成を開始しており、プリスタン誘導後6ヶ月の時点でやはりLC3-punctaの糸球体内での発現を検討する。ヒト腎生検組織の染色は上記の染色プロトコールが確立した時点で染色を開始する予定であり、未染色スライドを用意している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LC3-GFPマウスをたちあげ、ループス腎炎動物モデルを誘導、もしくは、ループス腎炎動物モデルとの掛け合わせを行った。LC3-GFPマウスのバッククロスは4回終了し、糖尿病モデルの誘導が8月には可能になり、MRL/lprマウスとLC3-GFPマウスを掛け合わせたマウスの生後6ヶ月での解析は5月が初回になる予定でほぼ順調にすすんでいる。また、in vitroの実験にむけて、LC3-GFPマウスからメサンギウム細胞を採取するプロトコールもすでに確立したため。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病性腎臓病に関してはLC3-GFPマウスを5回バッククロスした時点でin vitroに使用するメサンギウム細胞を採取するとともに、ストレプトゾトシン誘導による糖尿病モデルを作成し、病変形成へのオートファジーの関与を検討する。MRL/lprマウスとLC3-GFPマウスを掛け合わせたマウスに関してはLC3-punctaの糸球体内での発現を確認した後、リソソーム阻害剤投与によりLC3-punctaがオートファジーの亢進であるかどうかを確認する。オートファジーマーカーであるLC3,P62のマウス、ヒトにおける染色プロトコールを完成させ、ヒト腎生検組織における解析を開始する。また2型糖尿病モデルであるdb/dbマウスとLC3-GFPマウスの掛け合わせは開始したところであり、継続する。in vitroではLC3-GFPマウス由来のメサンギウム細胞を用い、高血糖やAGE刺激でLC3-I,IIの発現をwestern blottingで確認し、さらにリソソーム阻害剤であるBafilomycin A1添加によりその発現の変動(オートファジーフラックスアッセイ)を評価し、オートファジー活性を検討する。またPDGFやTNF-aといったループス腎炎において代表的なサイトカインにより刺激で同様な評価をおこなう。その結果次第でタモキシフェン誘導型Foxd1-CreマウスとATG5 floxedマウスを掛け合わせ、メサンギウム特異的ATG5ノックアウトマウスを作成し、そのマウスからオートファジー機能不全メサンギウム細胞を単離培養し、高血糖や各種サイトカイン刺激による、シグナル伝達や細胞外基質産生への影響を検討する。
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Causes of Carryover |
多くの動物モデルを扱うためにマウス飼育費を必要としたが、in vitroの実験に関しては、すでに所有の物品、抗体の残りを活用できたため。また、人件費、謝金や旅費をきりつめ、次年度にかかるであろう、費用とのバランスをとる形としたため次年度使用額が生じた。次年度請求額と合わせて使用する予定である。
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