2021 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋・血管相関の概念の応用による血管石灰化治療とその分子機構の究明
Project/Area Number |
19K08706
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 俊輔 九州大学, 大学病院, 助教 (10419608)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 敏昭 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10432931)
鳥巣 久美子 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20448434)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 血管石灰化 / 慢性腎臓病 / 骨格筋 / XPR1 / マイオカイン / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
科研費を投じて実施された本研究の主目的は、慢性腎不全における骨、骨格筋、血管の相関に注目し、骨格筋が産生するサイトカイン(マイオカイン)を制御することによって、慢性腎不全に伴う血管石灰化の進展を抑制する治療法を開発することである。本研究の最初の2年間に、骨・血管・骨格筋相関の障害により、骨量減少、サルコペニア、そして血管石灰化を同時に呈する慢性腎不全マウスモデルを完成させた。また、リン酸代謝に関係するXPR1が慢性腎不全下では骨格筋および血管においてその発現量が減少することを示した。最終年度においては、培養ヒト血管平滑筋細胞を用いた実験において、XPR1の欠乏が血管石灰化を促進することを実証し、腎不全に伴って上昇するPTHやFGF23がXPR1の発現を負に制御していることを確認した。さらにPTHやFGF23の添加は培養骨格筋細胞実験においては、マイオカインのの発現を低下させ、マイオカインがXPR1の発現調節に関与している可能性を示した。 本研究を通じて、①マイオカインが骨格筋および血管壁におけるXPR1の発現を制御すること、②腎不全では骨格筋が減少することに伴ってirisinなどのマイオカインが減少し、血管におけるXPR1の発現が低下すること、③血管におけるXPR1の発現低下によって血管石灰化が促進されることが実証された。今後は、本研究成果をさらに発展させ、骨格筋量を増加させる治療によって、骨格筋からのマイオカインの産生を促進し、血管石灰化の進展を予防する治療戦略へ昇華させたいと考えている。
|
Research Products
(3 results)