2021 Fiscal Year Research-status Report
消化管粘膜免疫が左右するバクテリアル・トランスロケーションと全身感染
Project/Area Number |
19K08961
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
松本 哲哉 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (10256688)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プロバイオティクス / バクテリアル・トランスロケーション / 選択的増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、プロバイオティクス等を用いて消化管粘膜免疫を活性化させることが必ずしもバクテリアル・トランスロケーションの抑制につながらず、むしろ感染症を負の方向に増悪させる可能性についても検討することを目的としている。ただし、バクテリアル・トランスロケーションを起こすだけでは消化管から門脈を介して肝臓に菌が到達するだけであり、その後の病態は一過性の菌血症に終わる可能性が高い。さらに実際の臨床においては、抗菌薬投与による腸管の常在菌の攪乱が耐性菌の選択的な増殖を起し、それに伴ってブレイクスルー感染が全身感染のきっかけになることが多い。そこで、マウスの腸管内で選択的増殖を起こし得る耐性菌を臨床分離株あるいは環境から得られる菌株を対象に調査して収集する研究を行った。その結果、バクテリアル・トランスロケーションを起こし得る耐性菌のスクリーニングを実施し、各種カルバペネマーゼ産生菌やESBL産生菌、バンコマイシン耐性腸球菌などの菌株が実験用の菌株として候補に挙がっている。さらに今後、得られた菌株の候補の中から、耐性の種類や程度、病原性を評価した上で、実験に適した菌株を絞り込んでいく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、予定していた実験はかなり遅れている。ただし、バクテリアル・トランスロケーションを起こし得る耐性菌の調査については、広くスクリーニングを実施して候補となる多くの菌株が得られるようになってきた。特に各種カルバペネマーゼ産生菌やESBL産生菌、バンコマイシン耐性腸球菌などの菌株が利用できる見込みとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた菌株の中で、バクテリアル・トランスロケーションの実験に用いることができる菌株を各種のアプローチによって選択していく必要がある。さらにプロバイオティクスの菌株についても各種抗菌薬に対する薬剤感受性を評価した上で、動物実験における抗菌薬投与下の実験系に利用できるかどうかを確認する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う実験の遅れが原因で、予定通りの実験が遂行できなくなったため。今後、感染状況が落ち着いたタイミングで実験のさらなる継続を進める予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Change in antimicrobial susceptibility of pathogens isolated from surgical site infections over the past decade in Japanese nation-wide surveillance study2021
Author(s)
Ueda T, Takesue Y, Matsumoto T, Tateda K, Kusachi S, Mikamo H, Sato J, Hanaki H, Mizuguchi T, Morikane K, Kobayashi M, Harihara Y, Seki S, Ishida Y, Fukushima R, Hada M, Matsuo Y, Kubo S, Kimura Y, Hata H, Nakajima K, Ohge H, Akagi S, Takeda S, Fukui Y, Suzuki K, Okamoto K, Yanagihara K, Kawamura H.
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Journal Title
J Infect Chemother
Volume: 27
Pages: 931-939
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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