2019 Fiscal Year Research-status Report
アディポネクチンによる腎保護作用機序の解明と血中T-カドヘリン測定の臨床的意義
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19K08980
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 法一 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (30506308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 均 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20379259)
喜多 俊文 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座講師 (10746572)
藤島 裕也 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10779789)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アディポネクチン / T-カドヘリン / 慢性腎臓病 / メタボリックシンドローム / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)アディポネクチン/T-カドヘリンシステムによる腎保護作用 腎虚血再灌流後の急性期では、毛細血管のバリア機能が破綻し血管透過性が亢進し、炎症や尿細管壊死、線維化が惹起されることが知られている。野生型マウス、アディポネクチン欠損マウスおよびT-カドヘリン欠損マウスに腎虚血再灌流モデルを作製し、エバンスブルーを静脈投与し血管透過性を評価した。結果、野生型マウスに比して、アディポネクチン欠損マウスおよびT-カドヘリン欠損マウスでは腎虚血再灌流後の血管透過性が有意に亢進していた。アディポネクチン/T-カドヘリンシステムは毛細血管のバリア機能の保持に重要な役割を果たしていることが示唆された。現在、他の腎傷害モデルも作製し、同様の検討を行っている。 (2)ヒトにおける血中T-カドヘリン濃度測定の意義 T-カドヘリンは、カドヘリン・ファミリーに共通した5つのカドヘリンリピート・ドメインを有し、GPI-アンカー蛋白にて細胞膜上に繋留されている。さらに、他のカドヘリンと異なり、T-カドヘリンはプロドメインを有する形でも細胞膜上に存在している事が明らかになっている。従って、ウエスタンブロットによる評価では、100 kDaと130 kDaの2つのバンドが検出される。以前に作製したT-カドヘリンに対する抗体では、血液サンプルを用いたウエスタンブロットでは1本のバンドしか検出出来ないことが判明した。現在、ヒト・T-カドヘリンELISAを構築するためのT-カドヘリン抗体を複数作製し、その抗体の評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に大きな問題もなく、動物実験も当初の計画通り順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)アディポネクチン/T-カドヘリンシステムによる腎保護作用 腎虚血再灌流モデルを施した野生型マウス、アディポネクチン欠損マウスおよびT-カドヘリン欠損マウスの腎臓の形態学的変化や傷害の程度、炎症性変化、血管新生の有無などを免疫染色などの各種染色により評価・定量する。STZ負荷糖尿病モデルやAngiotensin II負荷高血圧モデルなど各種腎傷害モデルも作製し、同様の検討を進めていく。 (2)ヒトにおける血中T-カドヘリン濃度測定の意義 ヒト・T-カドヘリンELISAを新たに構築すべく、作製したT-カドヘリン抗体の評価を行う。これらの中から性能の良い抗体を用いて、ヒト・T-カドヘリンELISAを新たに構築していく。
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Causes of Carryover |
以前に作製したT-カドヘリンに対する抗体の性能が不十分だった事により、令和元年度に使用予定であったヒト・T-カドヘリンELISA作製費用が繰り越された。従って、本費用は翌年度(令和2年度)に使用する事になった。
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[Presentation] Native adiponectin in serum binds to cells expressing T-cadherin, but not AdipoRs or calreticulin2020
Author(s)
Shunbun Kita, Shiro Fukuda, Yuto Nakamura, Yoshinari Obata, Yoshimitsu Tanaka, Tomonori Okita, Shigeki Masuda, Yuri Shimizu, Yusuke Kawachi, Emi Horitani, Takaaki Sakaue, Yuya Fujishima, Hitoshi Nishizawa, Norikazu Maeda, and Iichiro Shimomura
Organizer
Keystone Symposia, Diabetes: Glucose Control and Beyond
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[Presentation] Action mechanism of high-molecular weight multimer adiponectin - possible role of stem cells, T-cadherin, and exosomes for organ protections2020
Author(s)
Yuto Nakamura, Shunbun Kita, Yoshinari Obata, Shiro Fukuda, Yoshimitsu Tanaka, Yuya Fujishima, Hitoshi Nishizawa, Norikazu Maeda, and Iichiro Shimomura
Organizer
Keystone Symposia, Diabetes: Glucose Control and Beyond
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