2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒト化マウスによる難治性胆汁うっ滞性疾患と移植後HLA抗体の病態解明と治療法開発
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19K09064
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
後藤 了一 北海道大学, 大学病院, 助教 (10645287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
財津 雅昭 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (20768981)
渡辺 正明 北海道大学, 医学研究院, 特任講師 (40789848)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胆汁うっ滞性疾患 / ヒト化マウス / 肝障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体肝移植後の胆汁うっ滞性疾患である原発性胆汁性胆管炎(PBC)の3症例と原発性硬化性胆管炎の1症例から採取したPBMCを免疫不全マウスであるBALB/c Rag2-/- IL-2rg-/- (BRG)マウス4-5匹にそれぞれi.p.投与し、再構築の有無を観察した。マウス末梢血中のヒトCD45陽性細胞細胞はいずれもヒト化マウスの基準である1%以上確認され、全例で良好な再構築率(平均47.2%±25.6%)が得られた。これは胆汁うっ滞性疾患以外の生体肝移植後患者(劇症肝炎やアルコール性肝硬変症例など。N=6)から得られたPBMC(平均再構築率 36.7±17.8%), または健常者(n=5)から得られたPBMC(20.9±6.1%)でのヒト化マウスの再構築率と比較してやや高い傾向にあるものの、有意差はなかった。また採取したPBMC分画のTh1, Th2, Th17の分画に胆汁うっ滞性疾患(n=4)とそれ以外の疾患との間に有意差は無かった(Th1 13.4±6.2% vs. 10.9±7.7%, Th2 63.4±11.9% vs. 64.0±19.4%, Th17 16.3±3.3% vs. 17.4±6.8%)。更にヒト化マウスにPBMCを移入するとマウス内でhomeostatic proliferation が生じると共にヒトリンパ球分画としてTh1優位になることを我々の研究室では明らかにし報告した(Fukasaku Y, Goto R, Human Immunol 2020)が, その程度についても胆汁うっ滞性疾患とそれ以外の疾患での違いは見られなかった。今後この再構築されたヒト化マウスの肝障害の程度を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
胆汁うっ滞性疾患の末期肝不全の適切な症例が無かったこともあり, 移植後の胆汁うっ滞性疾患のPBMCを用いて再構築を検討した。再構築率とリンパ球分画の確認は可能であったが、Covid19の感染状況もあり外来受診は可能な限り控えて頂く方針としており、PBMCを採取する機会が限られた。また再構築に使用するマウスのBreedingが順調に進まなかったこと、他のprojectに使用された影響もあり、研究に必要なマウスの数の確保が十分で無かった。最終年度ではこれらの課題を認識し、PBMCの遅滞ない採取と必要なマウスの確保に留意したい。
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Strategy for Future Research Activity |
胆汁うっ滞性疾患のPBMCを免疫不全マウスに再構築し、肝病変の発生の有無を検討する。また肝移植後の抗ドナー抗体が移植グラフト片に及ぼす影響を臨床データの解析を含めて検討する。更に抗体関連の組織障害に対する治療戦略として制御性T細胞を用いた細胞治療の可能性を探る。
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Research Products
(2 results)