2021 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト化マウスによる難治性胆汁うっ滞性疾患と移植後HLA抗体の病態解明と治療法開発
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19K09064
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
後藤 了一 北海道大学, 大学病院, 助教 (10645287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
財津 雅昭 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (20768981)
渡辺 正明 北海道大学, 医学研究院, 特任講師 (40789848)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 原発性胆汁性胆管炎 / ヒト化マウス / ヒト皮膚移植 / 抗ドナーHLA抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
最初に原発性胆汁性胆管炎(PBC)の当院での受診状況と肝移植の実施、その予後について調査した。1997年―2019年に当院を初診した成人1186例のうち115例(9.7%)がPBCで、うち84例が肝移植を希望、32例が生体肝移植実施、39例が脳死待機リストへ登録された。脳死待機症例は、20例が待機中死亡、8例が脳死肝移植に至った。移植後成績は良好で、この結果を日本移植学会(2019年10月)で報告した。上記臨床データを確認後、肝移植後の抗ドナーHLA class II抗体発現が確認された症例14例から血清を採取し保存した。さらにヒト化マウス皮膚移植モデルをヒト免疫構築に優れた免疫不全マウスであるNOD/SCID/IL-2Rg-/-(NSG)マウスを用いて検討し、NSGマウスにヒト皮膚を移植すると拒絶反応が生じることが判明した(n=4、MST=22日)。これはGr-1陽性の自然免疫が関与している可能性が報告(Kenney L., Am J Transplant 2017)されていることから、抗Gr-1抗体を投与し、ヒト皮膚移植片の拒絶は制御された(n=3)。また他種類の免疫不全マウス、BALB/c Rag2-/- IL-2rg-/- マウスではヒト皮膚移植片は拒絶されず、これに他人のPBMCを再構築した場合、中央値27日で拒絶反応が生じることが確認された。一方で臨床においてPBCに対し肝移植を実施した症例の術後再発したPBMCをヒト化マウスに投与し、肝病変の有無を観察した。PBCのヒト免疫はヒト化マウスに再構築され、コントロールと比較し肝障害が確認された。研究期間内で1例の実施に留まったが、今後臨床経過とヒト化マウスにおける病変の程度を比較検討する予定である。また上記で得られた抗HLA class 抗体の発現結果を含めて論文にて成果を公開した。
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Research Products
(2 results)