2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒドロキシエチルデンプンによるグリコカリックス崩壊に対する血管収縮薬の軽減効果
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19K09363
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
多田羅 恒雄 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30207039)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒドロキシエチルデンプン / ヒアルロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
【ヒドロキシエチルデンプン製剤が高分子ゲル中における低分子量溶質透過におよぼす影響】 <目的>ヒドロキシエチルデンプン(HES)製剤は、細胞間質の構成成分であるヒアルロン酸と水素結合することによりヒアルロン酸溶液中の溶質透過に影響を与える可能性がある。これを検証するため、HESがヒアルロン酸溶液における低分子量溶質(Orange G)の透過におよぼす影響をアルブミンと比較した。 <方法>1%HESまたは1%アルブミンを含んだ0.2%ヒアルロン酸溶液に色素トレーサーである0.01% Orange Gを滴下し、Orange Gのヒアルロン酸溶液への透過度を吸光度法(波長478 nm)により経時的に測定した。Orange Gの相対透過度が0.3(T0.3)となる時間を求め、HESおよびアルブミン間で比較した。 <結果>1. Orange Gのヒアルロン酸溶液中への透過は経時的に増加した。 2. HESおよびアルブミンのT0.3は、それぞれ、0.92±0.27 (h, n=3), 1.95±0.32 (h, n=3)、であり、HESのT0.3は、アルブミンにくらべて有意に小さかった(p=0.013)。 <考察>今回の結果は、HESがアルブミンにくらべてヒアルロン酸溶液における Orange Gの透過を抑制しないことを示している。このHESの作用は、HESがヒアルロン酸と水素結合することによりヒアルロン酸の拡散を抑制することにより説明できる。この結果は、生体においてHESが血管内皮細胞表面のゲル構造におよぼす影響を考える上で重要な手がかりとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたヒドロキシエチルデンプン製剤が高分子ゲル構造におよぼす影響を調べることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ヒドロキシエチルデンプン製剤がヒアルロン酸構造におよぼす作用が生体内でどのように反映されるかを調べる予定である。
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Causes of Carryover |
実験結果を得るのに必要な測定サンプル数が当初の予想より少なかったため、若干の次年度使用額が生じた。この次年度使用額は、次年度の消耗品(試薬など)の購入に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)