2020 Fiscal Year Research-status Report
抗酸化作用を付与した人工酸素運搬体による脳梗塞治療法の開発
Project/Area Number |
19K09472
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鐙谷 武雄 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (80270726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 晃之 中央大学, 理工学部, 教授 (30298187)
中山 若樹 北海道大学, 医学研究院, 講師 (40421961) [Withdrawn]
川堀 真人 北海道大学, 大学病院, 特任准教授 (50399870)
数又 研 北海道大学, 大学病院, 講師 (60634144) [Withdrawn]
寳金 清博 北海道大学, -, 総長 (90229146)
長内 俊也 北海道大学, 医学研究院, 助教 (90622788)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工酸素運搬体 / 虚血再灌流傷害 / 脳梗塞 / 抗酸化物質 / 脳保護作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘモグロビン1分子にアルブミン3分子を共有結合させた形の人工酸素運搬体であるHemoActは、我々の先行研究で脳虚血再灌流モデル(糸栓子による中大脳動脈閉塞)において良好な脳保護効果を示した。今回の研究では、このHemoActに抗酸化物質である白金ナノ粒子(PtNP)を結合させ、抗酸化作用を付加したPtNP-HemoActを使用し、抗酸化作用の上乗せにより、さらに強い脳保護効果を発揮しうるかを検討することを目的としている。初年度はPtNP-HemoActの合成において、PtNPとHemoActの混合比を調整するのに時間を要したが、現在は至適の混合比が得られ、本年度は安定的な製剤作成が可能となった。また、本年度は虚血再灌流モデルラットの作製については複数名のものが安定したモデル作成をできる段階に達してきている。これにより、実験の進行を加速化できる状態となったが、新型コロナウイルスの市中感染拡大により大学施設の行動指針がレベル3の制限がかかり、動物実験室が使えなくなる事態となってしまった。このため、パイロット実験の進行が遅れてしまい、今年度の終盤にやっと初めての投与実験が可能となった。先行研究のHemoAct投与量と同量(1.2g/6ml/㎏)のPtNP-HemoActを2時間虚血24時間再灌流のラットに経動脈的、もしくは経静脈的に投与してその治療効果を検討した。まだ若干数ではあるが、経動脈投与、経静脈投与とも無治療のコントロールラットに比べて梗塞巣が小さくなる傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上述のように新型コロナウイルスの市中感染拡大により、大学の動物実験室が使えなくなる事態となり、予定していたパイロット実験の進行が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
大学動物実験施設の使用が可能となったため、遅れを取り戻すべく実験進行の加速化を図りたいと思っている。製剤が安定して作成できる状態になっていること、複数名のものが安定したモデル作成をできる段階に達してきていることより、今後は順調に進行できるものと思っている。今後はPtNP-HemoActの投与による動物個体への影響(特に安全性の観点から)と虚血再灌流傷害に対する脳保護効果を単体のHemoAct投与の場合と比較することで検討する予定である。
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Causes of Carryover |
前述のように新型コロナウイルスの市中感染拡大により、大学の動物実験室が使えなくなる事態となり、予定していた実験の進行が遅れてしまった。このため本年度は使用額が大幅に少なくなった。次年度はこの遅れを取り戻すべく実験進行の加速化を図り、本年度未使用分を次年度使用分に繰り込んで利用する予定である。
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