2019 Fiscal Year Research-status Report
後縦靭帯骨化症における肥満/耐糖能異常に関連する遺伝素因と環境因子の探索
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19K09566
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
遠藤 努 北海道大学, 大学病院, 医員 (90805293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高畑 雅彦 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (40374368)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肥満 / 異所性靭帯骨化 / OPLL / ビタミンA / ビタミンB6 / GWAS / アディポカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では胸椎OPLL患者に焦点を当て,①新規の疾患感受性遺伝子の同定と,②肥満 / 糖代謝と骨代謝のクロストーク関連因子を探ることでOPLLを増悪させる環境因子の同定を目指している.これまでのほとんどの研究が,遺伝的または環境的関与が低い(特徴があまりない)“頚椎”OPLLを対象としてきたため,その病因に真に迫る成果が得られていなかった.そのため,まず申請者は,OPLL患者の臨床情報を詳細に収集した疫学研究を行い,(50歳未満の)若年発症OPLLは,病的肥満(BMI>35kg/m2)と糖尿病・高脂血症を高率に合併し,胸椎を含む広範囲に極めて強い骨化傾向を持つ特徴的な亜群であることを明らかとした(T. Endo. J Bone Miner Metab. 2020).すなわち,胸椎OPLL患者はOPLLの発症,進展に関与する遺伝的背景もしくは環境因子の暴露を強く受けた患者群であり,病因探索研究の対象として適していると考えている. 並行して申請者はBDHQ(簡易型自記式食事歴法質問票)を用いたOPLL患者131名,年齢・性別をマッチさせた健常対照者117名を対象とした99種類の食品/栄養素摂取解析および全国多施設研究を行った.この研究では若年発症OPLL患者が健常対照者と比較しビタミンA,B6の摂取量が不足し,血清ビタミンA(レチノール)およびB6の低値が確認された.さらにこれらの血清ビタミン濃度とOPLL重症度指数(骨化の大きさや範囲の指標)には強い負の相関があることを報告した(論文投稿中).特にビタミンAは骨代謝に強く影響する補酵素であることから,ビタミンAおよび受容体等の関連分子は重要な治療ターゲットのひとつであることが示唆された(論文投稿中). 遺伝的因子の同定については,解析の最中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的には研究計画書通りに進んでいる. 遺伝的因子の解析(GWASによるSNPの探索)については,当初計画した400例の症例集積が既に完了しているが,さらなる集積を継続している.現在までに550例が集積済である.
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Strategy for Future Research Activity |
アディポカインと異所性骨化に関するデータ解析が終了しているため,論文化を進める. GWASによるSNPの探索は2020年度には完了する予定. 2020年度は手術時に患者から採取した脊椎靭帯における遺伝的因子の解析を具体的に進めていく予定である.
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Research Products
(6 results)