2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K09679
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
小川 夕輝 東京医科大学, 医学部, 助手 (20529250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正裕 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (00232471)
宮宗 秀伸 東京医科大学, 医学部, 講師 (80422252) [Withdrawn]
呉 曦 東京医科大学, 医学部, 助手 (00850447) [Withdrawn]
永堀 健太 東京医科大学, 医学部, 助教 (50759561)
倉升 三幸 (北岡三幸) 東京医科大学, 医学部, 助手 (70468643)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 精巣 / 微小循環障害 / 漢方 |
Outline of Annual Research Achievements |
男性不妊症の治療は、女性の不妊症と比較し有効な治療法が確立されていないため、漢方製剤を用いた治療に期待されている。精巣は絶え間ない精子形成のために豊富な血流を必要とする臓器であり、微小循環障害によって精子形成障害が引きおこされやすく、男性不妊症の約70%を占める特発性(=原因不明)の精子形成障害は、この微小循環障害(=末梢血管障害)が大きな要因として関与していることが分かっているが、漢方製剤を用いた精子形成障害の治療において、動物実験レベルで研究している報告は非常に少なく、特に精巣の微小循環障害の治療に関する報告は未だない。 本研究では、精巣の微小循環障害モデルマウスを作製して精子形成障害を引き起こし、現在の漢方処方薬である八味地黄丸と補中益気湯に加えて、微小循環改善を期待できる漢方製剤(桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯)の効能を明らかにする。 今年度は、8週齡・雄・ICRマウスを用いてCdCl2投与により精巣の微小循環障害モデルを作製し、漢方治療を単剤処方で実施した。漢方製剤は桂枝茯苓丸を用いて、ヒト投薬量を体重換算し5倍を餌に含有したものを作製し、15日および30日自由摂食させた後に屠殺し解析を行った。CdCl2を投与したマウスは精巣毛細血管障害を惹き起こし、リンパ球浸潤を伴う造精機能障害を認めたが、桂枝茯苓丸含有餌の食餌により造精機能が回復している像を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、精巣の微小循環障害モデルラットを作製して精子形成障害を引き起こし、微小循環改善を期待できる漢方製剤(桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯)の効能を明らかにすることを目的としており、以前より確立していた精巣の微小循環障害モデルマウスを用いて、漢方製剤の単剤投与による影響を調べ、2020年に実施した実験結果と同様の結果を得ることができた。しかし、2021年は前年に引き続き新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく措置による緊急事態宣言の発出により様々な制約を受けたため、当初の予定通りに研究を進めることが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は引き続き、微小循環障害動物モデルを用いて漢方製剤の単剤処方による効能の解析を進める。さらに、過去の臨床調査および動物実験により、男性生殖器に与える影響が研究されている漢方製剤(八味地黄丸、補中益気湯)と、微小循環改善を期待できる漢方製剤(桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯)とを合わせて処方した場合の臨床応用を前提にした実験を進め、絶え間ない精子形成のために豊富な血流を必要とする臓器である精巣の微小循環障害への漢方製剤の効能を調べる。また、漢方製剤の合わせ処方を行い、単剤投与に比べさらに効能を引き出せるのか、副作用が出るのかを検証する予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度は、2,282,521円の次年度繰越額を計上した。度重なる緊急事態宣言の発出により様々な制約を受けたため、予定していた動物実験を開始することが出来ず、前年度までの試料での検討にとどまり、実験動物や試薬等の購入が出来なかったことにより次年度使用額が生じた。 繰越金額は引き続き、漢方製剤を用いた精子形成障害の治療における動物実験レベルでの研究を進めるための評価・解析の経費に当てることとした。
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Research Products
(1 results)