2022 Fiscal Year Annual Research Report
温度感受性に抗がん剤を放出する磁性ナノ粒子を用いた新規がん温熱化学療法の開発
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19K09696
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
畦元 将隆 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (70264736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 憲康 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (20254279)
安藤 亮介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (30381867)
惠谷 俊紀 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (30600754)
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40264733)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40326153)
堤内 要 中部大学, 応用生物学部, 教授 (50329851)
内木 拓 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (50551272)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / 交流磁場 / HIKESHI / HSP70 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は温度感受性に抗癌剤を放出する磁性ナノ粒子(抗がん剤内包マグネタイト結合ナノホーン粒子(Thermo-SWNH))と交流磁場照射による磁場誘導組織内加温法の併用療法を浸潤性膀胱がんに対する治療として確立するための基礎研究である。臨床応用のためには解決するべく課題は1) Thermo-SWNHの最適化と安定供給体制 2)定量的スクリーニング系の構築(in vitro, in vivoでの腫瘍退縮効果確認) 3) 交流磁場発生装置の製造の3点である。この治療系の確立のためには、膀胱癌側に因子として、温熱治療の効果を上げるための条件を検索する必要があると考えた。真核生物における「核-細胞質間輸送」はインポーチンβタンパク質によって行われうる。しかし、熱や酸化ストレスによりインポーチンβの働くは著しく損なわれる。2012年に熱や酸化ストレス負荷時にインポーチンβに替わり「核-細胞間輸送」を行うタンパク質「HIKESHI」が同定された。温熱治療の効果がなくなる原因のHSP70は、HIKSHIにより細胞質から核へ移行される。今回、ヒト去勢抵抗性前立腺癌患者に対し温熱治療を行い、著効した1例と、効果が無かった1例の前立腺癌組織でHIKESHIとHSP70の発現を検討した。その結果、効果がなかった症例の前立腺では細胞質でのHIKESHI発現の増加と、核内でのHSP70の発現が増加していることが判明した。HIKESHIをノックダウンすることでHSP70の核内移行が抑制されれば、去勢抵抗性前立腺癌に対する温熱治療の効果も上がると考えられた。今年度は、本研究課題の治療が、より効果を上げるための膀胱癌側の要因について研究を行った。
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