2019 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜症患者の卵巣予備能に影響する因子に関する探索研究
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19K09767
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
辻 勲 近畿大学, 医学部, 非常勤講師 (20368335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 謙臣 近畿大学, 医学部, 教授 (20452336)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | チョコレート嚢胞 / 妊孕性 |
Outline of Annual Research Achievements |
・チョコレート嚢胞の存在ならびに手術が妊孕性に与える影響について チョコレート嚢胞合併不妊の治療成績を後方視的に検討した。チョコレート嚢胞合併不妊症例の妊娠率はチョコレート嚢胞を有さない不妊症例の妊娠率よりも低く、これはチョコレート嚢胞の存在による卵巣予備能の低下が原因であることがわかった。35歳未満では、チョコレート嚢胞に対して手術を行った症例はチョコレート嚢胞を有さない症例と同等の妊娠率になり、これは骨盤内の環境を是正することによる妊孕性の改善が関与している可能性がある。しかし, 35~39歳では、チョコレート嚢胞に対して手術を行った症例はチョコレート嚢胞を有さない症例よりも妊娠率が低く、これは手術による卵巣予備能の低下が原因であることがわかった。 ・チョコレート嚢胞の臨床病理学的検討について チョコレート嚢胞と診断されてから卵巣癌と診断されるまでの経過を追跡できる症例を対象として、チョコレート嚢胞と卵巣癌の発生の関係性について調べた。チョコレート嚢胞のフォロー開始から比較的早期に発癌した症例が多く、約75%の症例が5年以内に発癌し、全例が10年以内に発癌していた。年数の経過とともに減少する傾向がみられた。「チョコレート嚢胞の癌化」の原因として提唱されている仮説に基づけば、暴露期間が長くなるほど発癌率は上昇するはずであるが、今回の結果と矛盾する。チョコレート嚢胞を有する患者に発症した卵巣癌の発生機序に関しては、今後さらに検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・チョコレート嚢胞の存在ならびに手術が妊孕性に与える影響については、論文化し、Acta Medica Kindai Universityにアクセプトされた。2020年に掲載予定である。 ・チョコレート嚢胞の臨床病理学的検討については、論文化し、産婦人科の進歩誌にアクセプトされた。2019年に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
チョコレート嚢胞に対する治療が妊孕性に与える影響に関する前方視的研究については、2019年に研究計画を作成し、倫理委員会の承認を得た。現在、臨床研究を開始しており、今後は症例の集積を行う予定である
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Research Products
(1 results)