2020 Fiscal Year Research-status Report
スギ花粉症に対する経口免疫寛容機序の解明と新規創薬標的分子の探索
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19K09912
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村上 大輔 九州大学, 大学病院, 講師 (80568965)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経口免疫療法 / スギ花粉症 / マウスモデル / マンノースレセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当研究室で確立したスギ抗原‐ガラクトマンナン複合体を用いた経口免疫療法マウスモデルを用いた動物実験を予定していたが2020年1月からの新型コロナウイルス感染症の流行のため研究機関を使用できない期間が長期に続き動物を使用した実験を行うことが困難であった。そのため研究室で実験可能な実験を行った。スギ抗原‐ガラクトマンナン複合体はマンノースレセプターを介し、樹状細胞に取り込まれることが予想されているためマンノースレセプターが発現しているとされるRaw264.7細胞を用いてその取り込みにマンノースレセプターが実際に関与するか実験を行った。まずRaw264.7のマンノースレセプターの発現をフローサイトメトリーを用いて確認した。解析の結果、過去の報告の通りRaw264.7細胞にマンノースレセプターの発現を認めた。次にスギ抗原、スギ抗原―ガラクトマンナン複合体が実際にRaw264.7細胞に取り込まれるかどうかをスギ抗原とスギ抗原―ガラクトマンナン複合体それぞれにFITCをラベリングし、Raw264.7細胞に取り込まれるかどうかフローサイトメトリーを用いて確認した。24時間培養後の解析の結果、スギ抗原、スギ抗原―ガラクトマンナン複合体どちらもRaw264.7細胞に取り込まれることが明らかになったが24時間の培養ではマンノースレセプターが関与してよりスギ抗原よりスギ抗原―ガラクトマンナン複合体の取り込みを促進しているかは明らかにすることができなかった。その理由としてスギ抗原とスギ抗原―ガラクトマンナン複合体ではFITCラベリングの量そのものに差があり、取り込み量を相互比較することが困難であった。今後の実験としてはより短い時間、30分や数時間程度で取り込みに差が出るか、また直接的にマンノースレセプターのブロッキング抗体を用いて取り込みが阻害されるかをそれぞれで検討する方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は前年度の結果を踏まえて経口免疫療法マウスモデルにおいてコントロール群と比較して免疫療法群で腸間膜リンパ節ではCD4+CD25+Foxp3+制御性T細胞の分画の増加は認められなかったため、他の臓器、脾臓や鼻粘膜でのCD4+CD25+Foxp3+制御性T細胞の分画の変化とその機能解析を行う予定度あったが2020年1月からの新型コロナウイルス感染症の流行のため予定していた動物実験を行うことできなかった。次年度も新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いておらず流行の状況によっては施設内の実験が制約されるため動物実験ができない状態が断続的に続く可能性があり今後も研究の遅れが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
1.CD4+CD25+Foxp3+制御性T細胞の分画の解析を行っているがコントロール群と比較して免疫療法群で腸間膜リンパ節では分画の増加が認められなかったっため、他の臓器、脾臓や末梢の鼻粘膜でもCD4+CD25+Foxp3+制御性T細胞の分画の確認を行う。 2.コントロール群と比較した免疫療法群の特異的サイトカイン産生量に関しても当初の予想に反し、脾臓や頸部リンパ節においてT細胞特異的なIL-13産生量に変化がなく、むしろ腸管リンパ節ではIL-13産生量の増加が認められた。このサイトカイン産生がT細胞のみによるものか周囲の樹状細胞などの環境の変化によるものなのかを明らかにするためT細胞あるいはCD4T細胞をenrichし、T細胞自体によるものか周囲の環境によるものかを明らかにする。 3.さらにIL-13産生細胞の探索と研究のターゲットととしているCD4+CD25+Foxp3+制御性T細胞の機能解析を行う。 4.Raw264.7細胞を用いてその取り込みにマンノースレセプターが実際に関与するか引き続き実験を行う。スギ抗原とスギ抗原―ガラクトマンナン複合体をFITCラベリングし、より短時間の相(30分から数時間)で取り込み状況をフローサイトメトリーを用いて解析を行う。同時にマンノースレセプターが取り込みに関与しているかをマンノースレセプターのブロッキング抗体を用いて取り込みが阻害されるか検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年度はCD4+CD25+Foxp3+制御性T細胞の機能解析まで予定していたが、2020年1月からの新型コロナウイルス感染症の流行のため長期間研究機関が使用できない状態となったため本年度に予定していた動物実験のための物品、マウス購入の予算を執行できていない。さらに参加を予定していた各学会も延期やweb開催となったため旅費として計上していた予算を執行していない状況である。 今後の新型コロナウイルス感染症の流行の終息について予測することは難しいが前年度に予定してた動物実験を行うため、動物実験で使用する物品と実験で使用するマウスの購入を行う予定である。
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