2019 Fiscal Year Research-status Report
ゴーシェ病の治療標的探索:RNAエピジェネティクスによるGBA翻訳制御機構の解明
Project/Area Number |
19K10043
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三好 圭子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (20304537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩田 浩子 徳島大学, 技術支援部蔵本技術部門, 技術専門職員 (30512123)
野間 隆文 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (40189428) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゴーシェ病 / GBA / 遺伝子構造 / 遺伝子発現調節機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゴーシェ病(GD)は,原因遺伝子変異と臨床症状が必ずしも相関しないため,エピジェネティック制御の関与が示唆される.そこで本研究では,申請者らが樹立した亜型GD患者および家族由来口腔粘膜線維芽細胞を用いて, GBA遺伝子発現調節機構に関わるRNAのエピジェネティックモディファイヤーを探索し, 未解明のGD発症機序を解明することを目的とする. 平成31年度の計画では,エピジェネティック解析を行うにあたり,徳島大学の研究倫理審査に追加手続きを行った後,試料提供者に再同意を得た上で研究にかかる予定であったが,実際には前提となる先行研究で予期せぬ結果を得たことから,計画を変更する必要が生じた.すなわち,原因遺伝子とされるGBA遺伝子構造の詳細な解析の結果,新規のGBA遺伝子発現調節機構を発見した.そのため本研究を遂行する上で,まず1)その細胞特異性の有無について明らかにし,2)先行研究のエクソーム解析結果のデータマイニングの再確認を行う必要があった. その結果,マクロファージと線維芽細胞で,細胞特異的な遺伝子発現制御機構が存在することを見い出し,現在,その解析結果を英文誌に投稿中である.この結果は本研究の目的である,未解明のGD発症機序を解明するための重要な手がかりである可能性が示唆され,エクソーム結果の再解析と合わせて,GBA特異的遺伝子発現調節機構に関わるエピジェネティックRNAモディファイヤーを探索の際の指標にも活用できるものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まず,徳島大学の研究倫理審査に追加手続きを行い,再度インフォームドコンセントを行う予定であったが,その前に先行研究のエクソーム解析の内容を精査する必要があった.また,先行研究結果から新規のGBA遺伝子発現調節機構を発見したことから,本研究の手がかりとなる知見を増やす目的で,新規GBA遺伝子発現調節機構の細胞特異性を解析したところ,新規なメカニズムを発見した.具体的には,マクロファージと線維芽細胞で,新規な遺伝子発現制御機構がそれぞれ存在することを見い出した.この新規メカニズムについては,現在投稿中である. また,徳島大学の研究倫理審査に追加手続きについては,手続き上,2段階の審査を通す必要があり,現在,1段階目の審査はクリアした.引き続き2段階目の審査準備を行っているところである. 以上のことから,当初の計画からは大幅に遅れているが,予期しなかった結果を得たため,最終目標には着実に前進していると考えることから,現在の状況を「やや遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究倫理審査を通した後,研究計画を以下の通り繰り下げて変更する. 1)ボランティア,患者,患者ご家族由来線維芽細胞(OF)由来のRNAを用いたエピジェネティックRNAモディファイヤーの探索として,当初予定していた2つの網羅的解析(miRNA解析とRNA修飾解析)について順に行う. 2)並行してOF-iPS細胞を用いた病態モデル系の構築に着手する. 3)1)の結果,関連が示唆された場合,エクソーム解析結果と照らし合わせた上で, Loss-of-function解析(miRNA inhibitorあるいは修飾関連酵素遺伝子のsiRNA)やGain-of-function解析(mimicあるいは発現ベクターの導入)にてGCaseの量と活性を検討する. 4)また2)の病態モデル細胞にて3)の結果を検証する.最終的には研究成果を新規GBA特異的遺伝子発現調節機構および治療標的としての可能性を総括し,国際雑誌への論文投稿・学会発表を通じて公表する.
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Causes of Carryover |
上述の通り,今年度は予期せぬ研究成果を得られたことから,当初の研究計画を繰り下げて行うことになった.そのため,繰り越した研究費は,当初予定していた2つの網羅的解析(miRNA解析とRNA修飾解析)を行うために必要な受託解析費用の一部として,今年度の研究費と合わせて使用する予定である.
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