2019 Fiscal Year Research-status Report
咀嚼機能障害に対する機能回復が脳機能および認知機能に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
19K10253
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
小林 琢也 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (50382635)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔機能 / 脳機能 / 認知機能 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会の進展に伴い、高齢者数の増加から認知症患者数も増加の一途をたどり、その増加は歯止めがきかない。認知症や寝たきりを防止して平均寿命と健康長寿の差を少なくする方策を探るなかで、適切な口腔機能を維持・改善していくことが重要であり、健康寿命の延伸に大きな役割を果たすと注目が集まっている。しかし、これは疫学的研究検討からのエビデンスは構築されてきつつあるが,ヒトにおける口腔機能障害が認知症などのリスクを高めるとするメカニズムに関しては不明な点が多く、これを明らかにした臨床研究は無い。そこで、本研究では口腔機能障害がない高齢者と歯を喪失することにより口腔機能障害が生じた高齢者の、口腔機能評価、7T-MRI装置を用いた脳の形態評価、脳機能マッピングを用いた機能評価、認知機能に関与する海馬と前頭葉の詳細な認知機能検査とを比較して、歯の喪失による口腔機能障害が脳機能に及ぼすメカニズムの検討を行う。 研究期間内には、口腔機能の低下に直結する歯の喪失が脳機能に及ぼす影響を口腔機能、脳機能、認知機能の3つの観点から検討を行う。その後、欠損に対する補綴治療を行い咀嚼機能回復をした後に再評価を行い機能回復による脳機能と認知機能の変化を検討する。 初年度研究として無歯顎者の被検者の選定を行い口腔機能評価(①患者評価…基本情報、満足度・咀嚼評価。②義歯・口腔内診査…義歯診査、顎堤診査。③口腔機能評価…顎運動分析装置、筋電図、咀嚼能力、摂取可能食品評価、咬合力)を行っている。 COVID-19の影響で高齢被験者の通院敬遠が相次いでいること、施設においても検査の中断があり研究の進捗状況としては、少し遅れがあるのが現状である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響で高齢被験者の通院敬遠が相次いでいること、施設においても検査の中断があり研究の進捗状況としては、少し遅れがあるのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の影響で高齢被験者が研究からドロップアウトしており、再度被検者の獲得に努める。また、本年度の研究では、脳機能評価…f-MRI (咀嚼時の脳賦活の観察比較、ブロックデザインにて撮像)、脳形態評価…MRI撮像からVOD法での検討、認知機能評価…前頭葉機能検査:Trail Making Test Part A / 海馬の記憶検査:Rey聴覚性言語学習検査とRey 複雑図形検査を行い、口腔機能障害と脳機能、認知機能との関係を検討したい。 しかし、COVID-19の状況によっては研究活動が再度膠着する恐れがある。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により施設が使用できず、施設使用料に予定していた予算を執行できなかったため。研究を進めるうえで延期となっている実験の施設使用料は必要となるため、次年度の施設使用料として使用予定である。
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