2021 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼機能障害に対する機能回復が脳機能および認知機能に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
19K10253
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
小林 琢也 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (50382635)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔機能 / 咬合力 / 脳活動 / 脳機能 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】本研究では無歯顎高齢者に対して義歯による補綴治療を行い、口腔機能の改善が認知機能に関与する脳領域の活動と認知機能に影響を及ぼすか、高齢無歯顎患者に対する補綴治療の効果を明らかとすることを目的に行われた。 【方法】65歳以上の無歯顎高齢者で、補綴専門医が診査の結果、義歯再製作が必要と診断された21名を対象者とした。評価は旧義歯装着時と新義歯装着時および義歯装着後3か月後に口腔機能(咬合力,筋活動量),脳活動(f-MRI),認知機能(前頭葉機能検査 ,聴覚性言語性記憶検査,視覚性記憶検査を行った. 【結果】不適切な義歯装着時と適切な義歯を装着3ヶ月後の結果を比較すると,口腔機能は咬合力,咬筋筋活動が有意に向上し,脳活動ではChewingのタスクで一次運動野,一次体性感覚野,小脳,上前頭回,中前頭回ならびに被殻の有意な脳血流量の上昇を認めた(Fig 3A).Tappingのタスクでは,小脳や,一次運動野,一次体性感覚野,視床,下頭頂小葉,中前頭回,下前頭回,海馬傍回,海馬での有意な脳血流量の上昇が認められた. また,認知機能検査では前頭葉機能検査,聴覚性言語性記憶検査の全即時記憶,視覚性記憶検査のR-OCFTの検査結果が上昇し,前頭葉と海馬の機能向上が認められた. 【まとめ】上下全部床義歯装着高齢者において,咬合力の上昇ならびに咬筋筋活動量の上昇は,咀嚼運動に関連する一次運動野,一次感覚野,小脳,被殻,前頭葉,海馬傍回,海馬に対する脳血流量を上昇させることが示唆された.また咬合力ならびに咬筋筋活動量の上昇は ,注意機能,聴覚性記憶,視覚性記憶に影響を与える可能性が示唆された.
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Research Products
(1 results)