2020 Fiscal Year Research-status Report
骨代謝因子OPGが担う免疫寛容制御とカンジダ症の発症・増悪機序の解明
Project/Area Number |
19K10343
|
Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
小林 美智代 奥羽大学, 歯学部, 講師 (80316265)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 直哉 北海道大学, 創成研究機構, 助教 (30466429)
奥村 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (60194510)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | Osteoprotegerin / RANKL / RANK / candida albicans |
Outline of Annual Research Achievements |
カンジダ感染症は高齢者に発症率が高い内因性感染症である。高齢者は骨代謝因子Osteoprotegerin (OPG)の血清濃度が若年者、中年者に比較して高いことが報告されている。本研究ではOPGやRANKLの血清や局所の濃度がCandida albicans感染の発症、増悪に関与している可能性の検証を目的とする。 2年目である令和2年度は免疫抑制剤であるプレドニゾロンを投与した侵襲性カンジダマウスモデルの患部組織である舌組織のサイトカインの濃度変化の検討を行った。 ICRマウスにテトラサイクリンを飲水させ、免疫抑制剤であるプレドニゾロンを投与した後、口腔内よりC. albicansを感染させ、舌組織のサイトカイン量をELISAを用いて測定した。その結果、プレドニゾロン投与群非投与群共に組織中のOPGの濃度変化は認められなかった。しかし、プレドニゾロン非投与群の舌組織においてIL-10, IL-23の上昇が認められた。さらに、プレドニゾロン非投与群の舌組織においてRANKL, RANK, OPGのmRNAの上昇が認められた。 このことから、C. albicansの局所感染はRNAK/RANKL/OPGが関与している可能性、そしてプレドニゾロン投与により、それらの上昇が抑制されそのことが病態に関与している可能性が示唆された。 C. albicans 感染症と骨代謝因子との病態の関連が示唆されたことは新しい知見である。 またプレドニゾロン非投与群においてIL-10、IL-23、IL-12a、Foxp3の経時的な上昇も認められた。今後、C. albicansの全身および局所感染における、RANK/RANKL/OPGの影響の解明を行なっていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全身感染を起こしたカンジダ症モデルマウスにおいては、感染局所のサイトカインの変化は認められなかった。 しかし、免疫抑制していない非ステロイド投与マウスにおいてはRANK/RANKL/OPGのmRNAの上昇が認められ、C. albicans 感染症と骨代謝因子との病態の関連が示唆されたことは新しい知見である。 新型コロナウイルス の感染症の流行による自粛などのため、実験時間やスペースが制限され研究の遅れを生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は以下の研究を進めていく予定である。 1) マウス舌にsRANKLまたはsRANKL抗体やOPGを投与し、C. albicansを感染させ、舌、胃、小腸、糞および深部臓器における菌数と、各種サイトカイン量を対照群と比較する。これによりOPGの濃度減少、RANKLの増加がカンジダ症の病態に関与するかを明らかにする。 2) RANK-FcおよびRANKL抗体をマウスに投与し、カンジダ症を発症させ、菌数とサイトカイン量を比較して病態を解析する。これにより、RANK-RANKL結合の抑制がカンジダ症の病態に関与するか明らかにする
|
Causes of Carryover |
令和2年度からの新型コロナウイルスの感染拡大のため、一部実験が遅れて当初の見込額と執行額が異なった。 研究計画に変更はなく、C. albicansとOPG/RANK/RANKLとの関連を検討するため次年度において研究試薬等に繰越した研究費も含めて使用する。
|