2019 Fiscal Year Research-status Report
緑茶カテキンを利用した新規生活歯髄切断材料は作れるか~歯髄作用機構の解析から~
Project/Area Number |
19K10374
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 光一 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (50580932)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 薫明 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 准教授 (40374566)
八若 保孝 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (60230603)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | EGCG / 生活歯髄切断 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活歯髄切断(生切)材料はホルモクレゾール(FC)が多く用いられてきたが、FCの発がん性が指摘されて以降、日本では水酸化カルシウムが主に用いられている。一方で水酸化カルシウムはFCと比較して効果が弱く、臨床的な予後は不安定である。本研究は緑茶カテキンの主成分であるエピガロカテキンガラート(EGCG)を用いて、抗菌作用や抗炎症作用、石灰化誘導作用を有する生活歯髄切断材料を開発することを目的とする。さらに本研究では試作材料をラット歯髄に作用させ、組織学的評価や分子生物学的評価を行い、EGCGの歯髄細胞に対する作用機構を解明する。 平成31年度は動物実験の申請ならびに準備、また、in vitroでの研究を主に行った。動物実験の申請は許可がおり、R2年4月に動物実験を行う。詳細は今後の研究の推進方策で述べる。 In vitroの研究では、マウス由来のマクロファージ様細胞であるRAW264.7細胞を使用した。細胞への刺激誘発物質としてグラム陰性菌の内毒素(LPS:200ng/mL)ならびに、歯科材料に多く使用されている2-Hydroxyethyl Methacrylate(HEMA:5mM)を使用した。細胞増殖への影響を調べるためにWST-8 assayを行った。その結果、LPSならびにEGCG(10μM)により細胞増殖は増加した。HEMAでは細胞増殖は抑制された。また、炎症反応を評価するためにELISA法でプロスタグランジンE2(PGE2)産生量を測定した。LPS刺激によりPGE2産生量は24時間後、48時間後で著しく増加した。EGCGによりそれらの増加は抑制された。HEMAの刺激により、48時間後におけるPGE2産生量は増加したが、EGCGによりその増加は抑制された。平成31年度の研究により、in vitroにおいてEGCGが抗炎症作用を有することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
顕微鏡の故障により、研究計画の変更を余儀なくされた。現在は顕微鏡を新たに購入し、研究を再開することができている。in vitroの研究はやや遅れてはいるが想定通りの結果が出ており、今後も続けていくことにより挽回可能である。動物実験については令和2年度に行うため、大きな影響は出ていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
動物実験の研究計画は申請が通り、4月より開始する。ラットに対して生切を4月に行い、その後の組織標本の作製を踏まえると夏頃には結果が出る。予想通りの結果が出れば本研究計画の遂行には特に問題ないと考える。予想に反する結果が出るようであればその結果に対する理由をあらゆる角度から検討し対応する。 In vitroの研究は並行して行っていく。LPSやHEMAによるPGE2産生量増加を抑制したメカニズムを細胞内のシグナル解析や遺伝子発現を調べることにより明らかにしていく。
|
Causes of Carryover |
なるべく安い航空券を手配する、消耗品をなるべく節約するようにして使うことにより支出を抑えられたために生じたと考えられる。次年度では消耗品や実験動物の購入などに使用する。
|