2019 Fiscal Year Research-status Report
農薬曝露による子どもの神経発達リスクの解明-遺伝子多型(SNPs)解析を用いて-
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19K10576
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西原 進吉 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 客員研究員 (10584344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 敦子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任准教授 (00619885)
小林 澄貴 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (10733371)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 農薬曝露 / 神経発達 / ADHD / 有機リン / ネオニコチノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、発達障害の子どもが増加傾向にある中、農薬への曝露がその一因である可能性が指摘されている。しかしながら、農薬への曝露が、子どもの神経発達に与える健康影響を検討した研究は極めて少ない。 本研究では、児の尿を用いて、有機リン、ネオニコチノイド等の農薬や代謝物の濃度を測定する。加えて、これらの曝露濃度と神経発達スコアとの関連を検討し、農薬曝露が神経発達に与える影響を明らかにする。出生時に採取された臍帯血からDNAを抽出し、代謝関連遺伝子多型(SNPs)を解析することで、上記農薬曝露に対して脆弱な集団の存在を解明する。最終的には、このような個人差を考慮に入れた評価モデルの構築を目指す。 R1年度末までに、農薬やその代謝物をを測定する尿検体、および、アウトカムを評価するための情報(Conners3P,ADHD-RS)は収集済みである。また、その中で今回の研究で測定するための検体候補もピックアップ済みである。具体的には、2003年から2009年に生まれ、2017年11月までに8歳に到達した児の中で、妊娠初期に収集されたベースライン調査票、産後の新生児個票、7歳時点での尿検体、8歳時のアウトカム調査票、および、DNA抽出用の臍帯血の検体が揃う1537名から、ランダムに抽出されたサブコホート287名の検体を測定検体として選定した。 R2年度は、上記のピックアップした尿検体中の農薬やその代謝物濃度について、LC/MS/MS法を用いて測定し、アウトカムとの関連を解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,7歳の子どもの尿から,有機リンやネオニコチノイド系農薬の代謝物を測定し,尿中の農薬代謝物濃度とその子の神経発達スコアとの関連についての検討を行うことである。 上記の目的を達成するには,(1)尿検体の収集,(2)アウトカム評価についての情報収集と整理,(3)尿検体中の農薬代謝物の測定,(4)結果の解析と公表(論文執筆)という段階を踏む必要がある。 現段階では,上記の(1)と(2)がすべて完了しており,(3)についても、測定する検体の最終選定まで完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,収集され凍結保存されている尿検体から,農薬やその代謝物の濃度を測定する。 測定する物質・代謝物は,有機リン系農薬代謝物(DMP, DEP, DMTP, DETP, DMDTP, DEDTP),ネオニコチノイド系農薬(DIN, NIT, THM, IMI, CLO, IM-2-1, ACE, THD)である。 測定は,年内に完了予定である。アウトカム評価に関する情報はすでに収集済みであり,データ整理も完了しているので,代謝物の測定結果が揃った段階で,統計解析を実施し,ADHD等の神経発達状況との関連を検討し,論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
本研究において最も重要なことは尿中の農薬およびその代謝物測定である。測定においては、分散して行うよりもまとめて実施することが望ましい。 したがって、2020年度にまとめて測定を行う計画となり繰り越しが生じた。2020年度中に、必要なすべての検体を測定する計画である。
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Research Products
(1 results)