2022 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロプラスチック摂取が糖尿病モデル水棲生物の合併症と生殖機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
19K10606
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
苣田 慎一 杏林大学, 医学部, 学内講師 (90639791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 正雄 杏林大学, 医学部, 准教授 (10296543)
苅田 香苗 杏林大学, 医学部, 教授 (40224711)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロプラスチック / メダカ / ポリエチレン / 成長 / 産卵数 / 眼病変 / 腎病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
MPは、プラスチックごみが海洋で断片化された5 mm以下の粒子や、洗顔料や化粧品の原料として生産された200 um以下の粒子を指す。水環境中のMPは大小の水棲生物の口やエラから容易に取り込まれるため、水棲生物そのものへの影響や、その後の生物濃縮による人体への影響が懸念されている。しかしながら、MPの曝露量と生体影響の関係はヒトにおいても実験動物においても明らかにされていない。本研究の目的は、モデル脊椎動物であるメダカにおいて、MP(ポリエチレン製、粒径10-63 um)の曝露量と毒性影響の関連を明らかにすることである。また、糖尿病を発症するモデルメダカを用いて、MPの曝露が糖尿病に関連する病態に影響を与えるかどうかを明らかにする。メダカ(約280 mg、6-7か月齢)に対し、粉餌のみの対照群、及び粉餌とともに0.07-5.0 mg-MPs/g-体重を経口曝露する試験群を準備して解析を進めた。結論として、MPの経口曝露は生体影響を与えること、また、影響が見られない曝露量(0.07 mg-MPs/g-体重)があることが明らかとなった。本研究で明らかとした生体影響は、成長抑制、産卵数の減少、ふ化率の低下、網膜の菲薄化、網膜静脈径の拡大、糸球体メサンギウム領域の拡大である。糖尿病の二次病変として網膜症と腎症を示すモデルメダカで曝露試験を行ったところ、hi非曝露群と比べて、曝露群のメダカの空腹時血糖値に変化は無かったが、腎糸球体のメサンギウム基質の増大、網膜神経線維層の菲薄化の進展が観察された。従って、MPの曝露は、メダカにおいてではあるが、糖尿病二次病変を修飾する因子であることが示唆された。経口曝露されたMPが病変組織に直接作用した所見を認めなかったため、生体影響の原因となる因子は明らかでない。従って、今後はMPに含まれるポリエチレン以外の成分も含めて詳細な検討が必要である。
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Research Products
(5 results)