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2019 Fiscal Year Research-status Report

子どもの読字活動時における脳反応について

Research Project

Project/Area Number 19K10978
Research InstitutionThe University of Tokushima

Principal Investigator

森 健治  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (20274201)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 原田 雅史  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (20228654)
高橋 久美  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (40771085)
森 慶子  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (40837225)
橋本 浩子  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (80403682)
Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords読字障害 / NIRS / 音読 / 黙読 / 無意味単語
Outline of Annual Research Achievements

目的:読書能力、特に黙読速度には個人差が大きく、読字障害を有する者は音読より黙読がより苦手である。今回、物語の黙読および無意味単語速読時の前頭葉血流動態について近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)を用いて解析を行った。
対象・方法:対象は、高校生および大学生の男15名:平均年齢19.5歳、女15名:平均年齢19.6歳である。被験者とその保護者に対して研究目的と方法を説明して、両者から書面で同意を得た。NIRS測定のため左右前頭部に25チャンネルのプローブを装着した。黙読には、物語の文章を平仮名ばかりで分かち書きしたものを使用した。無意味単語速読検査には、4文字からなる無意味単語を用いた。各課題中の酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)濃度変化量と、黙読速度(文字数/分)および1分間に読めた無意味単語数を測定した。
結果:黙読および無意味単語速読時とも、左右の前頭前野外側部(Broca野)でoxy-Hb濃度の上昇が認められたが、その程度は両課題とも左側優位であった(黙読p<0.05、無意味単語速読p<0.01)。また、無意味単語速読時の方が黙読時と比較して左右の前頭前野外側部のoxy-Hb濃度上昇の程度が 有意に大きかった(左p<0.01、右p<0.01)。黙読速度(文字数/分)と1分間に読めた無意味単語数の間には正の相関関係が認められた(r=0.43)。黙読時における左右前頭前野外側部のoxy-Hb濃度変化量と、黙読速度(文字数/分)との間には負の相関関係を認めた(左r=-0.70、右r=-0.62)。1分間に読めた無意味単語数と左右前頭前野外側部のoxy-Hb濃度変化量との間には有意な相関関係は認められなかった。
結論:前頭前野外側部のoxy-Hb濃度上昇は黙読が苦手な学生における努力性の読みを反映していると考えられる。読字障害の評価にNIRSが利用できる可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現在、高校生及び大学生30名程度に対して、物語の黙読および無意味単語速読時の前頭葉血流動態について近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)を用いて解析を行った。各課題中の酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)濃度変化量と、黙読速度(文字数/分)および1分間に読めた無意味単語数を測定したところ、黙読および無意味単語速読時とも、左右の前頭前野外側部(Broca野)でoxy-Hb濃度の上昇が認められたが、その程度は両課題とも左側優位であった(黙読p<0.05、無意味単語速読p<0.01)。また、無意味単語速読時の方が黙読時と比較して左右の前頭前野外側部のoxy-Hb濃度上昇の程度が 有意に大きかった(左p<0.01、右p<0.01)。黙読速度(文字数/分)と1分間に読めた無意味単語数の間には正の相関関係が認められた(r=0.43)。黙読時における左右前頭前野外側部のoxy-Hb濃度変化量と、黙読速度(文字数/分)との間には負の相関関係を認めた(左r=-0.70、右r=-0.62)。以上の結果より、前頭前野外側部のoxy-Hb濃度上昇は黙読が苦手な学生における努力性の読みを反映していると考えられた。読字障害の評価にNIRSが利用できる可能性が示唆された。
読字障害の早期診断および治療のためには、年齢の幅をひろげて検討する必要性があると考えられる。現在、小学生においても同様の実験に着手しており、すでに15名程度のデータが集まっている。
以上のことより、本研究は順調に推移していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

対象年齢を広げるために、小学生を増やし、各学年の定型発達児のデータを蓄積していく。また読字障害を持つ児童生徒の計測も始めており、今後さらに症例を増やしていく。
定型発達児と読字障害を持つ児童生徒を比較することにより、NIRS計測が、読字障害の評価に有用であることを証明する。そして、読字障害の診断の補助手段としてNIRSが利用できるように、診断方法を確立していく。
さらに、読字障害に対するトレーニングを行い、その効果を、NIRSを用いて評価していく予定である。これにより、より効果的なトレーニング方法も開発できる可能性がある。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染症が流行しており、被験者との濃厚接触を避けるため、現在計測を中止している。したがって、謝金の費用が生じなかったため次年度使用額が生じた。次年度に被験者への謝金として使用する計画にしている。

  • Research Products

    (2 results)

All 2019

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] NIRSを用いた読字課題時の前頭葉機能評価2019

    • Author(s)
      森 健治、郷司 彩、森 達夫、東田好広、伊藤弘道、宮崎雅仁、香美祥二
    • Organizer
      第61回日本小児神経学会学術集会
  • [Presentation] 絵本の読み聞かせ聴取時における脳反応について-NIRSによる検討-2019

    • Author(s)
      森 健治、森 慶子、高橋久美、中野沙織、橋本浩子
    • Organizer
      第27回日本小児心身医学会中国四国地方会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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