2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K10978
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
森 健治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (20274201)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 雅史 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (20228654)
高橋 久美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (40771085)
森 慶子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (40837225)
橋本 浩子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (80403682)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 読字障害 / NIRS / 音読 / 黙読 / 無意味単語 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:読字障害の病態解明のため、読字障害を有する小児と定型発達児において、音読および黙読時の左大脳半球の血流動態について近赤外線スペクトロスコピー:NIRS(near-infrared spectroscopy )を用いて解析を行った。 対象・方法:対象は、小学1年生12名(男児6名、女児6名)と読字障害を有する小学1年生の男児2名である。全例、右利き。本研究を行うにあたり、被験者および保護者に対して研究目的と方法を説明して同意を得た。ETG-4000(日立メディコ製)を用い、左大脳半球に24チャンネルのNIRSプローブ(縦3×横6、間隔3cm)を一番下段の中心がT3になるよう装着した。 黙読および音読課題には、グリム童話の漢字かな交じり文(漢字総ルビ付き)を文字テキストとして使用した。黙読課題は、文字テキストを見せながら60秒間、黙読してもらった。各課題前に60秒間の安静課題(●を注視)を挿み計2回、課題を施行した。2回分を加算平均し加算平均波形を求め、課題中の酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)濃度変化量を算出した。続いて黙読課題と同様の方法で音読課題を施行した。 結果:定型発達の小学1年生12名全例の結果を平均化すると、音読時・黙読時ともに、左前頭前野外側部および左下後側頭部にてoxy-Hb濃度の上昇を認めた。読字障害を有する2症例においては、2人とも同部位のoxy-Hb濃度上昇が認められず、左頭頂部でoxy-Hb濃度上昇が認められた。 結論:1年生の定型発達児は、chunkingが可能となっており、NIRS検査で左下後側頭部の活動が認められたのに対し、読字障害児においては、一文字ずつ対応する音に変換(decording)しながらゆっくり読む逐次読みがみられ、decordingに関与する左頭頂部の脳活動が認められた。読字障害の評価にNIRSが利用できる可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大により、感染予防の観点から対面の検査を控えておるとともに、学内への入構が制限されており、学内において脳機能計測を行うことがあまり進まなかった。さらには、読字障害児に対する読字訓練を行っていたが、新型コロナウイルス感染が拡大したことを受け、訓練中止をしており、訓練後の脳機能計測が行うことができていない。このような理由から、やや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
対象年齢を広げるために、小学生を増やし、各学年の定型発達児のデータを蓄積していく。また読字障害を持つ児童生徒の計測も始めており、今後さらに症例を増やしていく。 定型発達児と読字障害を持つ児童生徒を比較することにより、NIRS計測が、読字障害の評価に有用であることを証明する。そして、読字障害の診断の補助手段としてNIRSが利用できるように、診断方法を確立していく。 さらに、読字障害に対するトレーニングを行い、その効果を、NIRSを用いて評価していく予定である。これにより、より効果的なトレーニング方法も開発できる可能性がある。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症が流行しており、被験者との濃厚接触を避けるため、現在計測を中止している。したがって、謝金の費用が生じなかったため次年度使用額が生じた。次年度に被験者への謝金として使用する計画にしている。 また、国内の移動が制限されており、情報収集のための学会がオンラインで開催されているため、旅費の支出がなかったため、次年度使用額が生じた。今後、国内移動が可能になり、情報収集のため学会へ参加する際に、旅費として使用する計画である。
|
Research Products
(2 results)