2019 Fiscal Year Research-status Report
Effects of health literacy and school health participation on school enrollment for Palestinian students
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19K11045
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤屋 リカ 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 准教授 (40583935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神馬 征峰 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (70196674)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヘルスリテラシー / 学校保健 / パレスチナ / 紛争 / 混合研究法 |
Outline of Annual Research Achievements |
パレスチナは紛争が長期化した社会状況にあり、根源的な問題の解決が困難な状況下で人々は生きており、特に、青少年の精神・心理面の健康への負の影響は大きい。紛争下であってもそこに暮らす人々がよりよく生きることができるかについてその方法を探索することも重要である。パレスチナでは、このような政治的社会的困難な状況の中で青少年の学校教育からの中途退学が報告されている。 本研究はパレスチナヨルダン川西岸地区において、学校教育からの中退が増える学年において、ヘルスリテラシーや保健活動への参加が就学継続に与える影響について質的手法・量的手法を用いた混合研究法により明らかにし、ヘルスリテラシーの持つ役割や向上させるための条件を探索する。 研究初年度である2019年度には、予定通り、パレスチナ自治区・ビルゼイト大学地域保健研究所を共同研究機関として研究を開始した。研究計画の具体的な内容の検討、パレスチナ自治政府教育省・国連パレスチナ難民救援機関(UNRWA)との学校を拠点とした研究に関する手続き、調査対象地域や学校の選定について調整した。質的研究のインタビュー内容とガイドの作成、ヘルスリテラシー尺度の開発や紛争の影響に関する質問項目についても検討した。 また、中東地域における青少年のヘルスリテラシーについての状況を把握、現地の青少年のヘルスリテラシーを評価していくために、システマティックレビューの準備を行い、PROSPEROにレビュー要旨の登録手続きをした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年3月から質的研究の部分について、研究対象地のパレスチナでインタビュー調査などを実施する予定でいたが、新型コロナウィルスの世界的な蔓延により、2月下旬よりパレスチナへの渡航が困難になり、また、3月にはパレスチナ内での外出制限が出され、現地協力大学に、調査を依頼することもできない状況になった。パレスチナ及びパレスチナに入域するにあたって通過しなければならないイスラエルの新型コロナウィルス対策のは強化されており、現地での調査の見通しは立っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2020度は、新型コロナウィルス蔓延の収束状況を鑑みて、共同研究機関であるビルゼイト大学と密に連絡を取りながら、現地調査の是非を検討する。現地調査が可能になった段階で、質的調査としてキーインフォーマント(教育省関係者、校長、保護者、生徒)インタビュー調査を実施、また、量的調査のパイロット調査を実施する。量的研究の本調査は状況が整えば11月に予定している。パレスチナの新学年は9月に開始することを考慮し、調査時期を設定している。パレスチナ自治区・ラマッラー地区とベツレヘム地区のA地区(パレスチナ自治政府管轄下)、B地区(行政はパレスチナ自治政府管轄下、治安はイスラエル管轄下)C地区(イスラエル管轄下)の対象者〈15~16歳、n=1,000)に対して、青少年用ヘルスリテラシー尺度による評価、健康状態、紛争の影響及び学業継続の意思、に関して自記式でのアンケート調査を実施する予定である。 調査によって得られる個人データは基本的に個人の特定はできない。ただし、紛争による影響について専門家による心理的サポートが必要とされるケースが発生した場合は、現地の専門家と連携して対応策を講じる。 データ収集後、データ入力、量的データ分析を実施し、共同研究者により結果を議論し論文にまとめていく。なお、量的調査の結果を鑑み、より詳細な内容を検討していくために追加での質的調査の実施について検討する。
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Causes of Carryover |
パレスチナでの質的研究部分のインタビュー調査を予定しており、旅費や謝金、調査費用の支出を予定していたが、新型コロナウィルスの蔓延により、調査が延期になったため、次年度使用額が発生した。状況が改善され次第、調査を実施する予定である。
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Research Products
(1 results)