2019 Fiscal Year Research-status Report
バスケットボールにおけるディフェンス・システムの系統に関する歴史的研究
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19K11488
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大川 信行 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (10185209)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バスケットボール / ディフェンス・システム / 系統 / 戦術 / 歴史研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度の計画は、1891年から1920年代までのバスケットボールに関する「指導書」及び「雑誌類」の収集とその翻訳をおこない、いわゆる黎明期のディフェンス・システムの分類を通じて、基礎データの作成にあった。そこで、史料の調査・収集を2019年9月24日から10月1日までの期間で、バスケットボールが誕生したマサチューセッツ州スプリングフィールド市にあるスプリングフィールド大学とニューヨーク市のニューヨーク市立図書館で行った。収集の際に注意したのは、対象となる史料はいずれも100年以上前のレアコレクションであるため、デジタルカメラによる接写撮影したことである。 また、収集対象として1920年位までは主に、YMCAの機関誌であったThe Traiangle、公式ルールやゲームの実施方法、戦術などが掲載されていたSpalding’s Official Basket Ball Guide及びSpalding’s Athletic Libraryなどの雑誌類とInternational YMCA training school のThesis(卒業論文)に加え、1910年代から出版され始めたコーチによる指導書であった。1920年代は、Spalding’s Official Basket Ball Guide及びSpalding’s Athletic Libraryの他に、Athletic Journalを調査し、指導書も渉猟した。 収集された史料のなかで、特に成果としてあげられるのは、後のゾーン・ディフェンスに多大な影響を及ぼしたとされているPosition Styleに関する詳細な史料を収集できたことである。これにより、1900年代後半から1910年代位までの主要な戦術の一部とゲームの詳細を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成31年度は、マサチューセッツ州スプレングフィールド市にあるスプリングフィールド大学とニューヨーク市のニューヨーク市立図書館で、ほぼ計画通りの史料調査・収集ができた。収集した史料の詳細な分析は完了していないが、ディフェンスに関する主要な戦術の基礎データは得ることができ、本年度の研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は平成31年度に収集した史料の分析を続けるとともに、引き続きスプリングフィールド大学とニューヨーク市立図書館で、1930年代から1950年代までの史料収集と分析を行う。この時期に出現してきたディフェンス・システムが、その前の時期の原型、すなわち基礎データの中に分類できるのかを見分ける作業を中心に進める。仮に分類できないディフェンスがあれば、それはまた新たに出現したデータとなる。
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Causes of Carryover |
先方との日程調整が難しく渡米できる時期が限られたことと持病の腰痛悪化のため座席を変更したことで渡航費がかさみ、当初計画していたモバイルコンピュータの購入を取り下げたため。次年度使用額は翌年度分と合わせて、身体的理由により渡航費に充てる計画である。
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