2021 Fiscal Year Research-status Report
バスケットボールにおけるディフェンス・システムの系統に関する歴史的研究
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19K11488
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大川 信行 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (10185209)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バスケットボール / ディフェンス・システム / 系統 / 戦術 / 歴史研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
1960年代の「マンツーマンディフェンス」に関しては、少し相手との距離を離して守るレギュラー・マンツーマンと密着して守るタイト・マンツーマン、それにスウィチング・マンツーマンが継承されていた。「ゾーンディフェンス」では、2-1-2の陣形が60年代初めに最も広く使用されており、1-2-2や1-3-1も使われていた。また、攻撃の陣形に合わせて防御の陣形を変えるマッチング・ゾーンが新たに登場している。60年代で特筆すべきは「プレスディフェンス」の普及である。これはマンツーマンでもゾーン行われており、フルコート、ハーフコート、さらには新規でスリークォーターでも実施されていた。ゾーンの場合は2-1-2や2-2-1の陣形が多用されていた。また、1966年にはプレスディフェンスに対する攻撃法のみを扱った指導書さえ出版されていた。加えて、マンツーマンとゾーンを合わせた「コンビネーションディフェンス」も出現しており、2人がマンツーマンで3人がゾーンをひくトラアングルアンドツー、1人がマンツーマンで、4人がゾーンのボックスアンドワン、などが登場していた。 1970年代の「マンツーマンディフェンス」では、ドリブラーに対して防御者が2人つくトラップ(ダブルチーム)を伴うディフェンスが新たに出現していた。同様に、「ゾーンディフェンス」でも3-2や2-3も陣形ではトラップ(ダブルチーム)を伴うディフェン行われていたいた。「プレスディフェンス」に関しては1-2-2や1-2-1-1の陣形が登場していた。 1980年代の「ゾーンディフェンス」で、Tゾーンと呼ばれる1-1-3やリバースTゾーンの3-1-1の陣形が新規に登場していた。この年代は60年代と70年代に登場してきたディフェンスシステムが継承されていた、と判断された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度の目的は、渡米して1960年代から80年代の史・資料の収集と分析を行い、この期間のディフェンス・システムの系統を明らかにすることであった。しかしながら、周知のように今年度も新型コロナウィルスの影響により渡米することができず、当初の史・資料の収集計画を実施することはできなかった。そのため、国内の大学図書館に所蔵されている当該年度の指導書と雑誌等を調査し、加えてバスケットボールの洋書が多く所蔵されている芦屋市立図書館において調査・収集を行った。この中で、ディフェンスに関する新たなシステムの記述があった著書・論文は、60年代が12点、70年代が9点、80年代が5点であった(同じディフェンス・システムが記述されたものは含めていない)。 これらの翻訳と分析を通じて、1960年代から80年代におけるディフェンス・システムに関しては、新たな系統を明らかにすることがほぼできたので、本年度の研究はおおむね順調に進展している、と判断された。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、1990年代から現在に至るまでのディフェンスシステムの系統を明らかにすることを主目的としている。そのため、スプリングフィールド大学とニューヨーク市立図書館等で、調査・収集を行う。得られた史・資料の翻訳と分析を通じて、それ以前のものと違うのかを見極め、仮に分類できないディフェンスがあれば、それは新たに出現したシステムとしてデータ化される。 なお、令和4年度は令和2年にできなかった1930年代から50年代までの史・資料の収集と分析も実施し、補填する予定である。 また、令和4年度も新型コロナウィルスの影響で渡米できなかった場合は、国内の図書館等で調査・収集を行い、それらの翻訳と分析を通じて、当該年度期間のディフェンスシステムの系統を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本研究は文献研究であり、しかもバスケットボールの古い文献を扱うため、渡米による史・資料の収集が不可欠であった。しかしながら、令和2年度と3年度は新型コロナウィルスの影響により、渡米することができず、また国内の移動も制限されていたため、次年度使用額が生じてしまった。 翌年度は渡航期間を延ばして、令和4年度分と令和2年度分の史・資料の収集を早い段階で実施する予定である。また、渡米が難しい場合は国内の図書館による調査の回数を増やしたり、図書の購入によって、当該年度期間の史・資料を収集する計画を立てている。
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