2022 Fiscal Year Research-status Report
バスケットボールにおけるディフェンス・システムの系統に関する歴史的研究
Project/Area Number |
19K11488
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大川 信行 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (10185209)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バスケットボール / ディフェンス・システム / 系統 / 戦術 / 歴史研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
1990年代のディフェンスは「マンツーマンディフェンス」が主流で、そのため、「スウィッチディフェンス」が増加し、さらに、通常より1歩引いた「バックラインディフェンス」が登場していた。また、1990年代後半には「フルコートプレスディフェンス」も増加し、さらには相手の中心選手にボールを持たせない「ハードヘッドディフェンス」が誕生している。 2000年以降はNBAの「ゾーンディフェンス」が2001年から解禁となったことから、ゾーンディフェンスが増加するが、それに伴い、試合中にマンツーマンとゾーンを入れ替える「ディフェンススキーム」の多様化がみられた。また、スクリーンプレイの一種であるピックアンドロールに対するディフェンスが発展し、単なる守る相手を交換する「スウィッチディフェンス」だけではなく、「ドロップ」や「ショウ&リカバー」、さらには「ブリッジ」といった戦術が開発されていた。 2010年代から現在までは、3ポイントシュートの成功率が増加し、それに伴い、ディフェンダーはより外側にポジションニングするようになっている。また、テクノロジーの進歩によって、ビデオ分析やデータ解析が容易になり、それらにもとづいて、相手の次の行動を予測し、最適な位置取りをしてカバーする「アニメーションディフェンス」が開発されている。さらに、「トラップディフェンス」や「ゾーンプレスディフェンス」など相手(特にボールハンドラー)にプレッシャーをかけるディフェンスのバリエーションが多彩となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度の研究目的は、渡米して1990年代から現在までの史・資料の収集と分析をおこない、この期間のディフェンス・システムの系統を明らかにすることであった。しかしながら、今年度も渡米することができず、当初の史・資料の収集計画を実施することはできなかった。そのため、昨年、一昨年と同様に、国内の大学図書館に所蔵されている当該年度の指導書と雑誌等を調査し、加えてバスケットボールの洋書が収蔵されている大阪府立図書館において調査・収集をおこなった。その中で、ディフェンスに関する新たなシステムの記述があった著書・論文は8点であった(同じディフェンス・システムが記述されたものは含めていない)。 これらの翻訳と分析を通じて、1990年代から現在までのディフェンス・システムに関しては、入手した史・資料の数は十分ではなかったが、その概略をつかむことができたので、評価としては、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度にできなかった史・資料の収集を令和2年度の計画と併せて実施する予定である。そのため、スプリングフィールド大学とニューヨーク市立図書館等で、調査・収集を行う。得られた史・資料の翻訳と分析を通じて、再度詳細なシステムのデータ化を図る。 なお、翌年度も新型コロナウィルスによって渡米できない場合は、国内の図書館等で調査・収集を行い、それらの翻訳と分析を通じて、1930年代~50年代と1990年代~現在までの史・資料を収集する計画である。
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Causes of Carryover |
本研究は文献研究であり、しかもバスケットボールの古い文献を扱うため、渡米による史・資料の収集が不可欠であった。しかしながら、令和2年から令和4年度まで、新型コロナウィルスの影響で、渡米はもちろんのこと、国内移動も制限されていたため、次年度の使用額が生じていた。 翌年度は渡航期間を延ばし、令和2年度と令和4年度分の史・資料の収集を行う予定である。また、渡米が難しい場合は、国内の図書館による調査回数を増やし、図書の購入によって、当該年度の計画を実行する計画である。
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