2021 Fiscal Year Research-status Report
五輪報道における多様性の検証とその変遷に関する研究:北京五輪から東京五輪へ
Project/Area Number |
19K11518
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中 正樹 日本大学, 法学部, 准教授 (70388685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日吉 昭彦 文教大学, 情報学部, 教授 (80383313)
小林 直美 愛知工科大学, 工学部, 准教授(移行) (90633834)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | テレビ / ニュース / オリンピック / 内容分析 / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は3つある。第1に、東京五輪のビジョンとして示された基本コンセプトの一つである「多様性と調和」が、テレビニュースとしてどのように報道されたのかを検証することである。第2に、東京五輪の開催期間におけるテレビニュースの多様性にまつわる価値観(民族やジェンダー等)に注目し、それらがどのように報道されたのかを検証することである。そして第3に、北京五輪から東京五輪に至るまで、五輪の開催期間におけるテレビニュースの多様性にまつわる価値観(民族やジェンダー等)がどのように変化してきたのかを解明することである。 上記の目的達成のため、今年度は東京五輪の開催期間に日本のキー局(NHK、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日)が提供する代表的なニュース番組のすべてのニュースを録画し、それらに対するコーディングを実施した。その過程で、オンラインでの研究会を11回開催し、研究の進行について意見を交換した。 研究成果としては、比較対象事例としてのリオ五輪、北京五輪、ロンドン五輪における五輪開催国報道の報道内容を比較検討することを通じて得た知見を論文「五輪開催期間における日本のニュース番組の報道傾向-北京五輪・ロンドン五輪・リオ五輪報道の比較から-」(『政経研究』第58巻第3・4号)にまとめた。また、本研究においてジェンダー分析を担当する小林は、本研究から得られた知見を論文「オリンピックにおけるアスリートの表象と制作者のダイバーシティ」(『生活労働施策』No.299)にまとめた。 以上が、2021年度の主な研究成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は東京五輪に関するテレビニュースを研究対象とするが、同五輪の開催が2020年度から2021年度に延期されたことにより、ニュースに対するコーディングも同様に1年間延期され、結果として研究計画に1年間の遅延が生じた。 研究計画の遅れを取り戻すべく、東京五輪開催期間の録画データが揃った後、毎月研究会を開催することを通じて研究活動を推進した。その結果、研究計画の遅れをある程度は取り戻すことができた。しかし、従来の研究計画に追いついたとは言い難い状況である。したがって、結論として研究はやや遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
東京五輪の開催期間に日本のキー局(NHK、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日)が提供する代表的なニュース番組のすべてのニュースに対するコーディングは2021年度に終了した。これらのデータに対して統計的処理を実施するため、2022年度はまずデータクリーニングを実施する。 データクリーニングを終えた後、テレビニュースの量的・質的な傾向を把握する。具体的には、コーディングしたデータに統計的処理を施して、量的分析を加える。これが基本データとなる。これにより、東京五輪報道の量的な傾向を抽出する。続けて、量的分析の結果を参考として、応募者らのそれぞれの研究分野(ジャーナリズム、スポーツ・メディア、エスニシティ、ジェンダー)の観点から質的分析を加える。 上記の内容分析が順調に進展した場合には、当初の予定通り、報告書を作成した上で、研究成果を国内外の学会で発表、もしくは研究論文を学術雑誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
東京五輪の開催が2020年度から2021年度に延期されたことにより、ニュースに対するコーディングも同様に1年間延期され、結果として研究計画に1年間の遅延が生じた。その影響で計画とは異なるタイミングでの研究費の支出を余儀なくされた結果、計画通りに助成金を使用することができなかった。そのため、研究費未使用分を次年度使用額として繰り越す必要が生じた。 2021年度に繰り越した当該助成金は、東京五輪開催期間における日本のテレビニュースの内容分析に関する報告書を刊行するために活用する予定である。
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Research Products
(2 results)