2023 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内プログラミングによる肥満発症に対する母親の咀嚼運動の効果に関する多角的研究
Project/Area Number |
19K11679
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Research Institution | Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
山田 久美子 名古屋女子大学, 健康科学部, 講師 (70737189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 貴子 名古屋女子大学, 健康科学部, 講師 (60737203)
飯沼 光生 朝日大学, 歯学部, 教授 (70184364)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ストレス / 咀嚼運動 / 肥満 / 子宮内プログラミング |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児期の低栄養などのストレスで、生理的、代謝的プロセスが永続的に変化するという子宮内プログラミングにより、妊娠期の子宮内環境は胎児の発達だけでなく、出生後の子に健康障害を発症させる素因を胎児期に形成することが示唆されている。腸内細菌叢は肥満との関連が示唆されており、母体の腸内細菌叢は出産、授乳を通して子へと伝えられ、離乳期に最初の腸内細菌叢が完成すると考えられている。本研究では、拘束ストレスを負荷した群、ストレス下で咀嚼運動を行わせた群、どちらも行わせなかった群の妊娠マウスから出生した離乳期の仔マウスについて、腸内細菌叢、肥満関連因子の定量および間葉系幹細胞(MSC)の増殖能と脂肪細胞への分化にかかわる遺伝子の発現解析を行うことで、母体へのストレスにより形成された肥満発症の素因に対する咀嚼運動の影響について検討した。 腸内細菌叢に関してFirmicutes門とBacteroidetes門の比(F/B比)は、ストレス群でF/B比が上昇し、咀嚼運動によって上昇緩和傾向が確認できた。血中レプチン濃度は各実験群間で有意な差は認められなかったが、摂食中枢である視床下部におけるレプチン受容体の発現量は、対照群と比較しストレス群で有意に減少し、咀嚼群ではストレス群と比較し上昇傾向にあることが認められた。MSCの増殖能は、対照群と比較してストレス群で上昇傾向が認められ、PPARγは発現量上昇、Runx2は発現量低下が確認された。 本年度、MSCの脂肪細胞への分化に関する追加実験とこれまでの研究結果の検討を行った結果、妊娠期のストレスは出生後の仔の肥満発症を促進する傾向が示され、咀嚼運動の効果については、肥満発症を抑制する可能性が示唆された。
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