2019 Fiscal Year Research-status Report
食品因子の胃粘膜細胞に対するレプチン分泌刺激作用の解明と抗肥満効果の検証
Project/Area Number |
19K11720
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
赤川 貢 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (70405356)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肥満 / レプチン / 食品機能 / 緑茶カテキン |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的に蔓延する肥満は、糖尿病、脂質異常症、高血圧等の生活習慣病の発症基盤であり、深刻な健康問題となっている。本課題で着目した「レプチン」は、視床下部に作用して食欲を抑制するとともに代謝を亢進して体重を減少させる抗肥満ホルモンとして知られる。当初、レプチンを分泌するのは脂肪細胞だけとされていたが、胃粘膜細胞もレプチンを分泌することが発見され、摂食に応答して迅速に血中レプチン濃度を上昇させ、食欲抑制と代謝亢進を誘導することが示唆されている。しかしながら、胃粘膜細胞に対してレプチン分泌を刺激する食品因子は未同定であり、その分泌機構も未解明のままである。そこで本研究では、胃粘膜細胞のレプチン分泌を刺激する食品因子を探索・同定し、その分泌刺激機構を分子レベルで解明することを目的とした。2019年度は、胃粘膜細胞のレプチン分泌を刺激する食品因子の探索を実施した。ラット由来正常胃粘膜細胞RGM1に食品因子を暴露し、経時的に培地を回収して培地中のレプチン濃度をサンドイッチELISAによって測定した。約150種類の食品因子ライブラリーと香辛料・ハーブ抽出液をスクリーニングした結果、いくつかのポリフェノール化合物がレプチンの分泌を刺激することを見出した。その中で、主要な緑茶カテキンであるエピガロカテキンガレートが非常に強い分泌刺激活性を持つことを明らかにした。現在はマウスを用いたレプチン分泌刺激作用の評価を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は「胃粘膜細胞のレプチン分泌を刺激する食品因子の同定」を計画していたが、スクリーニングを実施しレプチン分泌刺激活性を持ついくつかの食品因子の同定に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、マウス胃粘膜のレプチン分泌を刺激した食品因子の分泌刺激機構の解析を行う。多くの消化管ホルモンの分泌は、細胞内Ca2+シグナルに依存しているため、Ca2+蛍光プローブFluo-8を用いて細胞内Ca2+濃度の解析を実施する。また、Ca2+の起源が細胞外と小胞体のどちらであるかをキレート剤や阻害剤を使用して決定する。さらに、TRPチャネルまたはGタンパク質共役受容体 (GPCR) に対する食品因子のアゴニスト活性をCa2+イメージング法やTGFα切断アッセイ等により評価することによって標的受容体の同定を試みる。 また、レプチン分泌刺激作用を持つ食品因子の摂食抑制作用を動物実験によって評価する。絶食後にC57BL/6J雄性マウスに同定した食品因子を経口投与し、餌の摂餌量を経時的に測定する。毒性等のデータが不足している食品因子については、経口毒性試験等の安全性評価も実施する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた食品因子のスクリーニングが順調に進んだため、食品因子を購入する予算や試薬購入予算が大幅に節約できたため次年度使用額が生じた。当該助成金は、翌年度の培養細胞とマウスを使用した実験の試薬・消耗品の購入費として使用する予定である。
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