2019 Fiscal Year Research-status Report
予測モデルのグループ化を目的とするクラスター分析とその応用
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19K11862
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣瀬 慧 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 准教授 (40609806)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 予測モデリング / クラスタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,以下の3つの課題に取組んだ. 1.異なるソースの入力情報から,それらの合計値を予測する回帰分析について考察した.とくに,クラスタリングすることによって精度向上することを試みた.まず,そもそもクラスタリングを行う意味があるのかどうかを数値的に確かめた.具体的には,全て個別に予測する場合,合計値を1つのモデルで予測する場合,複数の入力をクラスタリングした場合の3つの場合において,電力データに対して需要予測を行った.すると,クラスタリングした場合,最も予測誤差が小さくなることが数値的に確認できた.これにより,クラスタリングを用いることが予測精度向上につながることがわかった. 2.上記の回帰分析を行う基盤となる,電力需要予測モデルを構築した.過去の需要と,気温やイベント情報を用いた予測を考えた.具体的には,変化係数モデルによる非線形構造の推定,selective inferenceによる予測区間の構築など,様々な統計的な手法を盛り込んだモデリングを行った.この手法の最大の特徴は,推定されたモデルが解釈できるという点にある.この可読性が,デマンドレスポンスなどに応用できると考えられる.さらに,提案手法が従来の機械学習の手法よりも高い精度で予測できることが実データ解析でわかった. 3.群の数が大きい場合における判別分析の新たな手法を提案した.群の数が大きいとき,判別しやすい群としにくい群が存在することが多い.この場合,可視化しながら,判別しやすい群としにくい群をうまく分けて別々に判別するという方法を考えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.目的関数を定義し,その目的関数を最小化するアルゴリズムを考案した.ただし,このアルゴリズムの収束性の保証,推定精度の評価などはまだ検証できていない. 2.電力需要予測モデルに関しては,統計モデルに基づく手法を考案したものの,なかなか解釈モデルを構築できずに苦戦していた.しかし,最近,パラメータに制約を加えることにより解釈できるモデルを推定することができることがわかった.この手法について,2019年度統計関連学会連合大会で講演した.また,論文を執筆し,現在ジャーナルに投稿中である. 3.実際に群の数が大きい場合における判別アルゴリズムを提案した.このアルゴリズムを使って実データに適用したところ,提案手法が従来の正準判別よりも精度が高くなることがわかった.また,この内容をEcoSta2019で講演した.
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Strategy for Future Research Activity |
1.まずは今年度提案したアルゴリズムの理論保証を行う.次に,非階層的クラスタリングと予測を同時に行う手法の提案を試みる.さらに,提案手法を電力データにあてはめ,その有効性を検証する. 2.今年度提案した電力需要予測モデルに対し,潜在変数を用いた定式化を行う.また,その定式化と高次元時系列解析との関連性を検討する.さらに,そのモデルに対するパラメータの推定法を提案する. 3.2019年度に提案した手法は,予測精度は向上するものの,計算時間が大幅にかかるという問題があった.その原因は,時間のかかる交差検証法を多用するという点にある.この問題に対処するために,交差検証の計算時間を減らす手法を提案する.
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響で,出張がキャンセルになったため.次年度の出張費や物品購入費に割り当てる.
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