2019 Fiscal Year Research-status Report
単一アナログデバイスと局所的学習則を用いるリアルニューロモーフィックシステム
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19K11876
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
木村 睦 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 客員教授 (60368032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 康彦 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (00314170)
ZHANG Renyuan 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (00709131)
松田 時宜 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (30389209)
羽賀 健一 北陸先端科学技術大学院大学, シングルナノイノベーティブデバイス研究拠点, 研究員 (40751920)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アナログデバイス / 局所的学習則 / ニューロモーフィックシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
人工知能は、未来の社会の中心となる技術であるが、巨大なサイズと膨大な電力が問題である。ニューロモーフィックシステムは、脳の模倣で、コンパクト化・低消費電力化が期待できる。そこで、我々は、超コンパクト・超低パワーの『リアルニューロモーフィックシステム』の研究を、アーキテクチャ:単一アナログデバイス/マテリアル:アモルファス金属酸化物半導体/アルゴリズム:局所的学習則の3つの観点から進めている。本研究では、上記の新技術を導入したニューロモーフィックシステムの動作を、シミュレーション・実機で確認し、実用的かつ人間の脳と同様な超コンパクト・低パワーの汎用人工知能の可能性を検討する。 現在まで、シミュレーションでは、抵抗変化素子・メモリスタのモデリングを行い、局所学習則とともに組み込んだ論理シミュレーションを行った。ディープ・畳み込みニューラルネットなどを構築し、連想記憶・画像認識の例として、MNIST・CIFAR-10の文字・画像のデータセットで、一定の認識成功率を達成した。一方、実機では、アモルファス金属酸化物のIn-Ga-Zn-O(IGZO)・Ga-Sn-O(GTO)で、抵抗変化素子・メモリスタの作製に成功し、クロスポイントチップやLSI積層チップなどを用いて動作を確認した。 今後は、シミュレーションでは、強誘電体キャパシタのモデリングを行い、論理シミュレーションを行う。さらに、回路シミュレーションで、動的挙動も含む正確な動作を解析する。一方、実機では、Ba-La-Ti-O(BLT)で、クロスポイントチップやLSI積層チップなどを用いて動作を確認する。最後に、大規模化では、大規模の1兆素子程度のニューロモーフィックシステムを想定し、超コンパクト・超低パワーの人工知能の実現にむけての可能性も検討し、汎用人工知能としての動作を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、シミュレーションでは、、単一アナログデバイスである抵抗変化素子・メモリスタのモデリングを行った。印加電圧・電流の履歴にコンダクタンスが依存するモデルである。そして、抵抗変化素子・メモリスタのモデルを局所学習則とともに組み込んだ論理シミュレーションを行った。中規模のニューロモーフィックシステムを想定し、ディープニューラルネット・畳み込みニューラルネットなどのネットワーク構成を構築した。連想記憶・画像認識の例として、MNIST・CIFAR-10の文字・画像のデータセットを用いて、一定の認識成功率を達成した。これらの結果については、早々に研究発表を行う予定である。 つぎに、実機では、アモルファス金属酸化物のIGZO・GTO(いずれも我々が研究している高機能材料)で、組成・デバイス構造・製造プロセスなどの最適化で抵抗変化特性・遷移特性などを制御し、抵抗変化素子・メモリスタとして活用できるものの作製に成功した。シナプス素子だけ個別基板に集積化したクロスポイントチップや、ニューロン素子をLSIに集積化しそのうえにシナプス素子を成膜したLSI積層チップなどを用いて、実機を試作して動作を確認した。現在は、3x3画素の小サイズの文字認識であるが、基本的な動作確認に成功したといえる。これらの結果については、早々に研究発表を行う予定である。また、BLTで、やはり組成・デバイス構造・製造プロセスなどの最適化で強誘電性などを制御し、強誘電体キャパシタとして活用できるものの作製に成功した。シナプス素子の接続強度の初期値・変化速度の実際の値についても評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、シミュレーションでは、、単一アナログデバイスである強誘電体キャパシタのモデリングを行う。印加電圧の履歴に分極・キャパスタンスが依存するモデルである。そして、既に完成している抵抗変化素子・メモリスタのモデルを局所学習則とともに組み込んだ論理シミュレーションを行う。より大規模のニューロモーフィックシステムを想定し、ディープニューラルネット・畳み込みニューラルネット・リザーバニューラルネットなどのネットワーク構成を構築する。最適化問題(巡回セールスマン問題など)などに対する正常な動作を確認する。また、強誘電体キャパシタのモデルを局所学習則とともに組み込んだ論理シミュレーションを行う。中規模・より大規模のニューロモーフィックシステムを想定し、ディープニューラルネット・畳み込みニューラルネット・リザーバニューラルネットなどのネットワーク構成を構築する。連想記憶・画像認識・最適化問題などに対する正常な動作を確認する。さらに、回路シミュレーションで、動的挙動も含むニューロモーフィックシステムの正確な動作を解析する。 つぎに、実機では、BLTで、シナプス素子だけ個別基板に集積化したクロスポイントチップや、ニューロン素子をLSIに集積化しそのうえにシナプス素子を成膜したLSI積層チップなどを用いて、実機を試作して動作を確認する。 最後に、大規模化では、大規模の1兆素子程度のニューロモーフィックシステムを想定し、超コンパクト・超低パワーの人工知能の実現にむけての可能性も検討する。ここでは、まずは上記の連想記憶・画像認識・最適化問題などを同じシステム構成のニューロモーフィックシステムで実現できるかを確認することで、汎用人工知能としての動作を評価する。
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Causes of Carryover |
主に、予定していた旅費の一部が、若干安価になったため、残額として次年度使用額が生じた。次年度は、汎用人工知能の評価にむけた、物品費として使用する計画である。
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Research Products
(32 results)