2021 Fiscal Year Research-status Report
単一アナログデバイスと局所的学習則を用いるリアルニューロモーフィックシステム
Project/Area Number |
19K11876
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
木村 睦 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 客員教授 (60368032)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 康彦 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (00314170)
ZHANG Renyuan 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (00709131)
松田 時宜 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (30389209) [Withdrawn]
羽賀 健一 北陸先端科学技術大学院大学, シングルナノイノベーティブデバイス研究拠点, 研究員 (40751920) [Withdrawn]
徳光 永輔 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (10197882)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | アナログデバイス / 局所的学習則 / ニューロモーフィックシステム / スパイキングニューラルネットワーク / メムキャパシタ |
Outline of Annual Research Achievements |
人工知能は、未来の社会の中心となる技術であるが、サイズと電力が問題である。ニューロモーフィックシステムは、脳の模倣で、コンパクト・低消費電力が期待できる。そこで我々は、超コンパクト・超低パワーのリアルニューロモーフィックシステムの研究を、アーキテクチャ/マテリアル/アルゴリズムの観点から進めている。本研究では、上記の新技術を導入した動作を、シミュレーション・実機で確認し、実用的かつ人間の脳と同様な超コンパクト・超低パワーの汎用人工知能の可能性を検討する。 現在まで、シミュレーションでは、抵抗変化素子・メモリスタ・強誘電体キャパシタを用いるメムキャパシタのモデリングを行い、新規ニューロン・シナプス回路を設計し、ディープ・畳み込み・さらにスパイキングニューラルネットワークを構築し、論理シミュレーション・HSPICEによる回路シミュレーションを行い、連想記憶・画像認識の機能をMNIST・CIFAR-10の文字・画像のデータセットで評価した。メムキャパシタの動的挙動も含み正確な動作解析に成功した。さらに、たとえばMNISTでは90%程度という十分な認識成功率を達成した。いっぽう、実機では、これまでの材料で新たにSTDPデバイスの作製に成功し、さらに、Hf-Oでメムキャパシタの作製に成功し、クロスポイントチップやLSI積層チップなどを用いて文字認識の動作確認に成功した。 今後は、さらに高度な研究のための1年間の補助期間延長のあいだに、上記の研究の成果を反映して、実機では、実際に半導体技術を用いるASICで、新規ニューロン・シナプス回路を搭載し、LSI積層チップで、文字認識の動作確認を行う。最後に、大規模化では、大規模の1兆素子程度のニューロモーフィックシステムを想定し、超コンパクト・低パワーの人工知能の実現にむけての可能性も検討し、汎用人工知能としての動作を評価する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、シミュレーションでは、単一アナログデバイスである抵抗変化素子・メモリスタに加えて、強誘電体キャパシタを用いるメムキャパシタのモデリングを行った。印加電圧の履歴にキャパシタンスが依存するモデルである。そして、これらのモデルを組み込んだ新規ニューロン・シナプス回路すなわちパルス遅延回路・チャージポンプ回路を設計し、局所学習則とともに中規模のニューロモーフィックシステムを想定し、ディープニューラルネット・畳み込みニューラルネット・新型オートエンコーダ+パーセプトロンなどのネットワーク構成を構築した。メムキャパシタ・パルス遅延回路・チャージポンプ回路の動的挙動も含み正確な動作解析に成功した。さらに、たとえばMNISTでは90%程度という十分な認識成功率を達成し、これは従来のハイパフォーマンスのコンピュータと複雑なソフトウェアによる人工知能と同程度の認識成功率である。 つぎに、実機では、アモルファス金属酸化物のIGZO・GTOに加えて、強誘電体材料のBLT・PZT・HZO(いずれも我々が研究している高機能材料)で、材料組成・デバイス構造・製造プロセスなどの最適化でスイッチング特性・強誘電体特性などを制御し、抵抗変化素子・メモリスタ・STDPデバイスさらにメムキャパシタとして活用できるものの作製に成功した。シナプス素子だけ個別基板に集積化したクロスポイントチップや、ニューロン素子をLSIに集積化しそのうえにシナプス素子を成膜したLSI積層チップなどを用いて、実機を試作して動作を確認した。引き続き、現在は、3x3画素の小サイズの文字認識であるが、基本的な動作確認に成功したといえる。これらの結果については、既に様々な研究発表を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、抵抗変化素子・メモリスタなどを用いて、実際に半導体技術を用いるASICで、新規ニューロン・シナプス回路を搭載し、LSI積層チップで、文字認識の動作確認を行うことで、本研究は完了するはずであった。しかしながら、これまでの研究で、新たなSTDPデバイス・メムキャパシタ・メモリスタとキャパシタの複合デバイスなどで、さらにハイパフォーマンス・ローパワーのニューロモーフィックシステムが実現できる可能性が見いだされた。そこで、さらに高度な研究のための1年間の補助期間延長を行い、これらの研究を極め、実機による動作検証をすることにした。具体的には、新たなSTDPデバイス・メムキャパシタ・メモリスタとキャパシタの複合デバイスなどを用いて、実際に半導体技術を用いるASICで、新規ニューロン・シナプス回路すなわちパルス遅延回路・チャージポンプ回路を搭載し、局所学習則とともに中規模のニューロモーフィックシステムを構成し、LSI積層チップで、文字認識の動作確認を行う。その結果をふまえて、最後に、大規模化では、大規模の1兆素子程度のニューロモーフィックシステムを想定し、超コンパクト・低パワーの人工知能の実現にむけての可能性もアップデートし、汎用人工知能としての動作を評価する。
|
Causes of Carryover |
まず、コロナ禍のため、予定していた旅費を使用しなかったため、残額として次年度使用額が生じた。次年度にコロナ禍が収束していたら、今年度に行く予定であった出張などで旅費として使用する。コロナ禍が収束していなかければ、その出張で目的としていた研究発表や情報交換などで得られるべきことを補うような、たとえば紙面発表や文献調査などに使用する予定である。 つぎに、これまでの研究で、新たなSTDPデバイス・メムキャパシタ・メモリスタとキャパシタの複合デバイスなどで、さらにハイパフォーマンス・ローパワーのニューロモーフィックシステムが実現できる可能性が見いだされた。そこで、さらに高度な研究のための1年間の補助期間延長を行い、これらの研究を極め、実機による動作検証をすることにした。具体的には、新たなSTDPデバイス・メムキャパシタ・メモリスタとキャパシタの複合デバイスなどを用いて、実際に半導体技術を用いるASICで、新規ニューロン・シナプス回路すなわちパルス遅延回路・チャージポンプ回路を搭載し、局所学習則とともに中規模のニューロモーフィックシステムを構成し、LSI積層チップで、文字認識の動作確認を行う。その結果をふまえて、最後に、大規模化では、大規模の1兆素子程度のニューロモーフィックシステムを想定し、超コンパクト・低パワーの人工知能の実現にむけての可能性もアップデートし、汎用人工知能としての動作を評価する。
|
Research Products
(39 results)