2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on Estimation of User Subjective Evaluation while Watching AV Contents from Various Angles
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19K11932
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
亀山 渉 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90318858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅沼 睦 早稲田大学, 理工学術院(国際情報通信研究科・センター), 客員主任研究員 (50399507)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | AVコンテンツ / 主観品質評価推定 / ユーザ満足度 / ユーザ興味度 / コンテクスト / センサ情報 / 生体情報 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
AVコンテンツ視聴時におけるユーザの映像品質に対する主観評価を効率よく、かつ、精度良く推定する手法について、3年の研究期間の内、2年目の検討を終了した。具体的には、ユーザに装着する各種の生体情報測定器及びセンサ、並びに、ユーザが使用するデバイスから得られる多次元情報から主観評価を推定する手法を引き続き検討した。(1)固定されたモニタ環境でのAVコンテンツに対するユーザ満足度やユーザ興味度を考慮した主観評価推定、(2)モバイル端末環境でのユーザコンテクストも考慮した主観評価推定、の二つの研究課題について検討を行った。 (1)に関して、ビットレート変化を伴うAVコンテンツの主観評価をスライダを用いて時系列で取得した実験では、ランダムフォレストによる推定よりも、XGBoostによる推定の方が精度が高いことを確認した。しかしながら、スライダ操作及び筋電に由来するノイズが計測した脳波に混入している可能性があり、2020年度はこれらのノイズ除去手法についても検討を行った。検討の結果、独立成分分析によるノイズ除去手法が有効であることが分かり、脳波のみによる主観評価推定実験でもノイズ除去をしない場合と比較して高い推定精度が得られることを確認した。今後は、この手法を用いて、脳波のノイズ除去を前処理として適用することとした。 (2)に関して、2020年度は被験者を8名に増やし、1週間に渡るAVコンテンツ視聴実験を行った。CNN、ランダムフォレスト、XGBoost、k近傍法を使用し、時系列を考慮したコンテキスト推定を行ったところ、どの被験者においてもCNNで99%以上の推定精度を得ることができた。この際、食事やくつろぎといったコンテキストでは生体情報、具体的には、心拍情報が有効であることも確認した。一方、主観評価推定の検討においては、2021年度に予定する中規模実験の計画立案を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題(1)及び(2)について、2020年度は、ほぼ当初の計画通りに研究を遂行できた。しかしながら、本研究は多くの被験者に協力を仰ぐ人を対象とする研究の一種であるため、世界的なパンデミックの影響により、大きな制約を受けながら研究を進めざるを得なかった。特に、研究室の内外を問わず、密な環境での実験を行うことができなかったため、実験及び検討により多くの時間を費やさなければならないこととなった。そのため、当初計画に比して、約9割ほどの達成率であった。 研究成果については、査読論文1件、国際学会発表1件及び国内学会発表1件を行った。対外発表に関しても、予定の8-9割の研究成果公表となった。 本研究では被験者の個人関連情報を含んだデータを扱うことから、被験者の同意を得ることはもちろんのこと、人権、個人情報保護及び安全対策について必要な処置を講じて行っている。具体的には、2019年度の研究開始時に、研究者の所属機関の「人を対象とする研究に関する倫理委員会」から研究計画の承認を得て研究を行っている。2020年度も承認された実験計画に引き続き沿って、所属機関の「人を対象とする研究に関する倫理規定」に基づき、被験者に対して、研究目的、内容、並びに、実験の安全性と考えられる危険性等について、書面及び口頭で十分に説明を行った上で、被験者から実験参加の同意を得て行われた。2020年度も、特に問題は発生していない。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はほぼ計画通りに研究を遂行できたことから、最終年度である2021年度も、当初の計画通りに研究を進めることとする。即ち、研究課題(1)については、実環境を模擬した妨害要因下における中規模被験者によるデータ取得実験、並びに、データ解析と主観評価推定手法の最終評価を行う。研究課題(2)については、実環境を模擬した妨害要因下における中規模被験者によるデータ取得実験、並びに、データ解析とユーザコンテクスト及び主観評価推定手法の最終評価を行う。 しかしながら、世界的なパンデミックの影響は非常に大きく、多くの被験者による実験、並びに、長時間に渡る実験が引き続き制約される可能性が高い。従来にも増して、各種の感染予防作を施して万全の体制を取るように心がけ、予定通りの研究計画実行に最大限努めたい。
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