2020 Fiscal Year Research-status Report
活超高齢社会の実現に向けた携帯できる散歩促進ロボットの開発
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19K12178
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
森 善一 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (70305415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 克夫 筑波大学, 人間系, 准教授 (50282314)
竹田 晃人 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (70397040)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高齢者 / 閉じこもり / 携帯型ロボット / 散歩 / リハビリテーション / インタラクション |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は,子機の試作2号機の設計・製作を中心に課題を進めた.以下にその具体的な内容を示す. ●ハードウェアの製作 [担当:森]: ロボットは,親機・子機型となる.子機の試作2号機では,GPSを搭載することにより,予め設定した目的地へ到着した時に「グラウンドへ連れて来てくれてありがとう」と言った感謝の言葉を発するようにした.実験の結果,利用者の散歩への印象が有意に向上することが分かった.親機については,モニタ上に子機と類似した犬のアニメーションを表示しており,散歩から帰宅した際,歩数と共に,それに応じた犬の表情(例えば,目標数を超えると笑顔)が変化するように工夫し,散歩意欲を高める工夫を行った. ●人工知能を用いた高齢者との「駆け引き」 [担当:竹田,森]: 本課題では,散歩への誘いの会話を9つの部分から構成し,「誘い」および「再誘い」に用いる発話内容の選択には,深層強化学習を用いた.今年度は,誘いかけの時間を最適化する方法について検討を行ったことに加え,日常生活における愛着形成を目的とし,子機の手や頭に触れたときに,首を上下・左右に振る,鳴き声を発するなどのアクション・インタラクション行動を実装した. ●高齢者の閉じこもり傾向改善に対する実証実験 [担当:山中]: 試作機の製作後に開始されるアクションリサーチの準備を行った.具体的には,まず実験実施のフィージビリティ―(実行可能性)の項目に基づき試作機の点検と改良を行った.次に対象地域の区会役員に実験交渉を行い,承諾を得た後,予備研究として役員にロボットを実際に使ってもらい,チェック項目に基づきユーザビリティー(使用性:使いやすさ)に関する意見を得た.その結果,外見・大きさ・重さについては基本的に問題がなかったものの,屋外での発話音が小さい,散歩時の呼びかけが少ないなどの課題が見つかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実機製作ならびに実験計画において大きな遅れが生じた. [理由]: 昨年度開始早々に生じたコロナ禍において,入構制限がかかり,実機製作を行う上で,大きな支障が生じた.またアクションリサーチにおいても,当初,10~11月頃に実施する予定だったが,実施不可能となったため.
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Strategy for Future Research Activity |
●試作3号機の製作 [担当:森]: 子機の外形については,これまで,デフォルメした柴犬のぬいぐるみ(豆しば ティッシュカバー,サイズ:約22×35×19cm)を使用しているが,同程度の大きさで,リアルな柴犬の外形の試作も行っている.次年度は,試作2号機の不備(AC電源コードが外へ出ている.ロボットの腹部を布で覆いきれていない等)の細かな修正を施した外部実験用の試作3号機の製作を行う.また同ロボットでは,環境に応じてロボットの出力音声を調整できるようにする.それらに加え,仮にACおよびバッテリー電源が切れた場合でも,再度,電源をつなげば,自動復帰できるように電源周りのプログラミングを行う. ●人工知能を用いた高齢者との「駆け引き」・「飽きの防止」 [担当:竹田,森]: これまでの深層強化学習を用いたロボットによる散歩の誘い出しでは,学習の収束速度に問題があり,その点の改良に取り組んだ結果,誘い方が固定してしまうという問題点が見つかった.そこで,機械学習については,深層強化学習以外のアルゴリズムについても再検討を行う予定である.それに加え,昨年度に取り組んだ「日常生活における愛着形成」についても,ロボットとの接触に加え,簡単な会話ができるようにすることにより,「飽きの防止」の対策について検討を行う予定である. ●アクションリサーチ [担当:山中]: 昨年度立てたアクションリサーチの実施計画を以下のように修正し,実施する予定である.4月~5月:予備実験(修正・変更点の検討,使用感のチェック),6月~8月:本実験に向けた調整(ロボット完成,実験協力者への交渉),9月~10月:本実験,10月以降:実験結果の解析,論文執筆.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため,実施計画に大きな遅れが生じ,予定していた使用額を満たさなかった.本課題は,3年計画で実施する予定であったが,去年度の遅れを今年度取り戻した上で,1年延期し,次年度,主にアクションリサーチ・検証実験を中心に研究を進めていくよう予定の変更を検討しており,実験協力者への謝金,およびロボットの改良費等のための経費として使用する予定である.
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Research Products
(1 results)